松本人志(ダウンタウン)がレギュラー番組『ワイドナショー』で、流行語大賞について苦言を呈した。一般的には盛り上がって良いが、彼クラスの芸人になると流行語を口にしづらくなるというのだ。「俺が“じぇじぇじぇ”とか言ったらクソ寒いでしょう」と主張すると、東野幸治が「その場は笑っても、後で『松ちゃん終わったな』って言いますね」と松本の言い分に理解を示している。芸人でなくとも流行語大賞に選ばれた言葉によっては、普段の生活でも困る場面が出てきそうだ。
今年は流行語の当たり年だといわれる。記憶に新しいところでも東京五輪招致での「お・も・て・な・し」や予備校講師・林修さんの「いつやるの? 今でしょ!」に、政治からは「アベノミクス」がある。ドラマのセリフも多い。『半沢直樹』で使われた「倍返しだ!」、NHK朝ドラ『海女ちゃん』の「じぇじぇじぇ」にドラマ『家族ゲーム』から「いいねぇ~」などが流行した。
10月7日に放送された『ワイドナショー』でその流行語大賞について取り上げると、レギュラーコメンテーターの松本人志が「正直なところ、言葉で商売する人間としてはあまりよろしくない」と苦言を呈した。彼は「流行語大賞が1年を反映した言葉であることは良くわかる」とその存在価値は認めるが、自分のような芸人にとっては困ったことになるというのだ。
会社や学校で流行語を使って盛り上がるのは良いのだが、芸人、特に松本人志のような位置にある者は流行語大賞に選ばれた言葉を使いづらくなる。一方で中居正広は「芸人ではないので、SMAPもみんな意識せずに使ってる」と話しており、やはり芸人へのプレッシャーが大きいことが分かる。
だが、流行語によっては芸人に限らず戸惑う場面がありそうだ。松本人志は普段でも使うことがある言葉は「『じゃあこれは、倍にして…』と言いながら、『いや、そういう意味じゃなくて』と説明するのが面倒」と指摘していた。
先日のことだ。AKB48の高橋みなみがNHKのテレビ番組『スタジオパークからこんにちは』に出演した際に、「次世代メンバーが頑張るのはいつなのか?」と真面目に話しながら「“今でしょ!”ってなっちゃいそうですが」と苦笑していた。大島優子も「真剣な話なんだから!」と焦る場面があった。
またドラマ『家族ゲーム』が放送されて話題となった頃に、主演の櫻井翔が別の番組で「“いいねぇ~”が流行っているそうですが、そのつもりでなく普通に使う方には申し訳ないです」と気にしていた。
昨年のユーキャン新語・流行語大賞ではお笑い芸人・スギちゃんの「ワイルドだろぉ」が選ばれた。これは彼のネタなので、普段の会話で使う心配はなかったのだ。しかし松本人志は、「流行語大賞はある意味“言葉狩り”だからね」と持論を語っている。「今年は流行したから、来年は使わない」という流れになるというのだ。
確かに芸人の間では、流行語大賞に選ばれると翌年は人気が落ちるといったジンクスがあると聞く。それを考えると芸人にとっては、ネタが流行語大賞に選ばれることは喜んでばかりもいられないようだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)