劇団四季の人気ミュージカル『ライオンキング』や『リトルマーメイド』の女優・男優たちが、トークバラエティ『心ゆさぶれ!先輩ROCK YOU』に出演した。トーク番組は初めてというだけに、普段はあまり聞くことのない練習や配役にまつわる厳しい現実から、劇団のギャラや恋愛事情まで貴重な裏話が飛び出した。
日本最大規模であり代表的な劇団として知られる、劇団四季の劇団員が10月19日の『心ゆさぶれ!先輩ROCK YOU』に登場した。先輩格の青山弥生(ライオンキング“ラフィキ”、リトルマーメイド“アースラ”役)をはじめ、田中彰孝(ライオンキング“シンバ”役)、黒川輝(ライオンキング“ティモン”役)、谷原志音(リトルマーメイド“アリエル”役)、竹内一樹(リトルマーメイド“エリック”役)の5人が前列に座り、後列にキャラクターとしてライオンキングのプンバァ(川辺将大)、ナラ(熊本亜記)にリトルマーメイドのアリスタ(観月さら)、アティーナ(三平果歩)、フランダー(大空卓鵬)らが座った。
全国8か所の劇場で年間3000公演以上を行うということも驚きだが、妥協を許さぬステージのために鍛えられた体には番組レギュラーの加藤浩次らも目を見張った。リトルマーメイドの場合だと2本のワイヤーに吊られながら魚の泳ぐ動きをするために、腹筋と背筋を使い続けなければならない。さらに舞台で通る声を出すには“腰で呼吸”する方法をとるため、腹筋と背筋を鍛えている。谷原志音が細いウエストでその呼吸を実践すると、お腹だけでなく背中側の腰も膨らんだりしぼんだりしていた。また発声練習も「アイウエカキクケ…」と口をハッキリと開いて早口で行う独特な方法で、毎日30分以上は必ず行うという。劇団員の努力にはまさにプロ集団という印象を受ける。
だが、そこまで努力しても「初日舞台が始まるまでは、本当に出られるかどうか分からない」と青山弥生は語る。たとえばライオンキングに出るには劇団四季内のオーディションが行われて、それに合格したものがキャストとなり舞台開始まで稽古を積む。しかし、それまでには役を降ろされることもある。「たとえ公演中でも降ろされる」という厳しい世界なのだ。
この日、前列に座った主要な俳優5人でさえも、配役を降ろされた経験が全員にあった。田中彰孝はライオンキングのシンバ役に決まって1年間稽古をした後、ようやく舞台初日を迎えた日に役を降ろされてしまったそうだ。しかし彼は、そこから奮起して再びシンバ役となったからこそ、今まで主演を続けることができたと振り返る。青山弥生は降ろされる時に「慣れ、だれ、崩れ」と言葉を聞かされて、「その次は“去れ”だ!」と言われてきたという。
そんな劇団員のプライベートについて、番組MCの大東駿介が「四季内恋愛とかもあるんですか?」と追及すると、青山は笑いながらテレビ局でも社内恋愛があるのと同じだと答えた。谷原志音は、週に一度の休演日にはマッサージや睡眠をとってメンテナンスをすることになり、劇団員以外とは生活リズムが合わないと現状を語った。
さらに木南晴夏が「ギャラはどうなっているんですか?」と突っ込んだ質問をすると、「主役でも脇役でも1ステージの出演料は同じ」という意外な答えが返ってきた。ただし、主演すると年末にボーナスのようなものはあるらしい。田中彰孝はライオンキングのシンバ役として、ボーナス的なものをもらったことを証言している。
劇団員によっては年間に321ステージをこなすというから、稽古のことも考えるとほとんど休まる暇もなさそうだ。加藤浩次は「好きなことがやれるから続く。劇団四季が好きでその舞台に立ちたいから」という純粋な思いはディズニーランドで働く人々のようだとたとえた。青山弥生もそれに共感すると、「実は、ディズニーランドから劇団四季に来る人もいる」と明かしていた。ディズニーランドも劇団四季も、人に喜んでもらうという点で目指すところは同じなのだろう。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)