モーニング娘。が今年に入って出したシングル2作が立て続けにヒット。オリコンの売り上げランキングで2作連続1位はグループとして11年ぶりの記録となった。それまであまりなかったテレビ出演も増えており「モー娘。人気復活」という声も聞かれる。本来、メディア露出は少なくとも根強い人気を持つ彼女たちがここにきて再ブレイクした形だ。実はその人気上昇の要因のひとつに昨年5月からリーダーとなった道重さゆみの影響があった。
道重さゆみは卒業した前リーダー新垣里沙を継いで2012年5月19日にモーニング娘。第8代目リーダーに就任した。当時、道重は新垣に「やっぱりやめてほしくない」と泣きついたという。そんな彼女も新リーダーとして持ち前のキャラクターでモーニング娘。を引っ張った。当初はテレビ番組で『道重流“モー娘。のルール”』を打ち出して、お決まりで「私が一番カワイイ」とアピールしていた。
その時期から1年が過ぎた今、モー娘。は確実に進化を遂げたのである。7月29日に放送されたバラエティ番組『しゃべくり007』に出演したモーニング娘。は10名。シングル『Help me!!』『ブレインストーミング/君さえ居れば何も要らない』にも参加していた田中れいなは5月21日に卒業してもういない。6期生で24歳の道重さゆみをリーダーに平均16歳のメンバーが揃った。
最年長の道重は「モーニング娘。は16年目ですが、私は11年間続いている」と語る。いつの間にか彼女はモー娘。を最も長く経験するメンバーになっていたのだ。彼女はリーダーになる前には「私さえカワイクて、オイシかったらそれでいい」と考えていたと明かす。リーダーになってからもしばらくは“道重ルール”で『“おはようございます。きょうもカワイイですね、道重さん”と挨拶する』ことを強要していたが、それもやがて聞かなくなった。
道重は「リーダーになって、そういう気持ちもなくなって、周囲を見たりするようになった」「人間としても更生した」と今の自分が変わったことを認めたのである。そして、そんな道重リーダーが信頼されていることを証明するようなメンバーからの感想が聞かれた。
飯窪春菜は道重さゆみについてリーダーとして厳しい時もあるが、それは仕事の大切さを教えてくれる時だという。「コンサートではスタッフさんが頑張ってくれているんだから、スタッフさんや応援してくれる方に感謝の気持ちを返すように」と話してくれるのだ。
また、工藤遥は「すごくメンバーのことを見てくれている。リハーサルでも立ち位置が違ったりすると『そこ違うよ』と指摘してくれるし、振り付けができなければ、できるまで付き合ってくれる」と明かした。彼女たちの口調や表情から道重さゆみはリーダーとして本当に信頼されていることが伝わってくる。
今のモーニング娘。について道重は「メンバーの立ち位置を活かしたフォーメーションダンス」が武器だという。『Help me!!』のダンスを見たことがある有田哲平(くりぃむしちゅー)は「確かに凄い! 『ワイワイやりましょう』みたいなノリじゃない」と彼女たちのフォーメーションダンスを絶賛していた。
ライバルであるAKB48やももいろクローバーZについて石田亜佑美が「何も思っていないです。モー娘。は『本当に凄いんだっ』っていうグループなので(他は)見ていない」と自信を持つのもそんなパフォーマンスに裏づけさているからだ。彼女は「それぞれのグループの良さがあるけど、その中でもモー娘。が一番」と言い切る。
だが、道重さゆみの場合は、ライバルのアイドルグループに対して違った思いがあるようだ。彼女がモー娘。に入った10年前には「トップアイドルといえばモー娘。だった」という。ところがアイドル戦国時代と呼ばれる今となっては「天下を獲っているのはAKB48さん。私としてはすごく悔しい」と訴えた。10年前とは環境が変わり、先輩たちがトップアイドルとして君臨したようにはいかないと感じているのだ。
そこで道重リーダーが主張するのが「ちゃんと見てもらえば、今のモー娘。の良さが絶対にある。もっと知って欲しいんです」ということだ。AKB48やももクロとは違った“フォーメーションダンス”を多くの人に見てもらう機会を増やすことが必要なのだ。
バラエティ番組で「私がカワイければそれでいい」と活躍してきた頃の道重さゆみとは違う。今の彼女はリーダーとしてモーニング娘。をトップアイドルにするために、メンバーのモチベーションを上げるよう配慮する。ある時は、パフォーマンスの完成度を高めるために練習に付き合う。そしてそれをメディアで見てもらうためにバラエティで鍛えたトークを駆使する役割を果たしている。
今回の出演では他のメンバーのトークもこれまでより増えており、アピールもできるようになった。人気番組『しゃべくり007』に出たことで“LOVEマシーン”時代のモー娘。しか知らない視聴者に、新生モーニング娘。を知ってもらえたのは大きい。今後の活躍にも弾みがつきそうである。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)