宮崎駿監督による劇場版アニメ『風立ちぬ』で声優に初挑戦した女優の瀧本美織が、テレビ番組でアフレコの様子や役づくりの苦労を明かした。彼女は演じたヒロインを「菜穂子さん」と呼んでおり、その語り口はキャラクターを超えて友人について話しているようにも聞こえた。
『風立ちぬ』で薄幸のヒロイン・里見菜穂子の声を演じた瀧本美織が、7月28日の福岡のローカル番組『ナイトシャッフル』(FBS福岡放送)に出演した。
オーディションを受けて菜穂子役に抜擢された彼女は、役づくりのために「昔の映画を見て、その時代の女性の話し方や話すスピードを勉強した」という。実際にアフレコする段階ではオーディションの時に比べて「声が変わったね」と言われて、努力した成果を実感したのだ。
アフレコは主人公・堀越二郎役の庵野秀明と2人で組んで行い、2日間で終わったそうだ。番組パーソナリティが驚くも、彼女は「アフレコの現場って凄く短いんですよ」と説明していた。
『風立ちぬ』の中で“この言葉を大事にしたい”と思う場面について尋ねられた瀧本は、「菜穂子さんが『生きてるって、素敵ですね…』とポロっと口から出した言葉」だと答えている。彼女は大事な言葉というものは日常の中で「ふと気づくもの」だと考えており、アフレコでは「聞かせるセリフにならないように意識しました」という。その言葉に自分なりの思いを込めたのだ。
今回の作品で初めて声優に挑戦した瀧本だが、公開前の宣伝活動でもこれまでに無い体験をしたようだ。公開日の7月20日に『瀧本美織オフィシャルブログ「Miori Takimoto」』で、「たくさんの宣伝活動に1人では心細くて、心折れそうになったりもしました」と明かしている。
しかし、宮崎駿監督をはじめとする制作者の思いが詰まった『風立ちぬ』に参加できたことと、「菜穂子さんという女性に出会えて一緒に生きれたこと」への感謝から、決して1人ではないと思うことができたのだ。
『風立ちぬ』はイタリアで行われる第70回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品される。瀧本美織がヒロイン菜穂子を通して伝える「生きてるって、素敵ですね…」が世界に届くことだろう。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)