ドラマ『家族ゲーム』が6月19日の放送で最終回となった。崩壊した沼田家に吉本荒野(櫻井翔)はどう関わるのか。それを見届けようと多くが注目したようだ。視聴率は同ドラマで過去最高の16.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)となった。最終回の放送後には番組サイトやツイッターで多くの感想がつぶやかれている。ドラマがスタートした頃には主演した櫻井翔の迫力ある演技に「怖いけど、おもしろい」といった内容が多かったが、放送を終えた今では「胸が熱くなった」、「家族のことを考えた」という感想が目立った。ドラマ全編を通して作者や演者が伝えたかったことが最終回によって明確になり、視聴者もそれぞれに思うところがあったようだ。
破天荒な家庭教師・吉本荒野の正体は、かつての熱血教師・田子雄大だった。エリートコースを歩み挫折を知らない本物の吉本は、中学校の“モンスター”教師となっていた。親の権威をかさに他の教師を手下にした吉本は、「実験」と称して生徒の真田宗多に暴力をふるっていじめ続けた。その真田は自分のせいで幼馴染の同級生・水上沙良が吉本に脅され、制服を脱がされて写真を撮られたことに責任を感じる。しかも吉本がその写真を担任の田子先生の仕業にしようと企んだことから、真田はそれを奪い返そうとして吉本を階段から突き落としてしまうのだ。
真田は田子先生が電話でとめるのも聞かず、森の中の小屋で自殺してしまう。真田から相談を受けながら力になれなかった上に彼の命を救うことが出来なかった苦しみから、田子は二度と真田のような犠牲者を出してはならないと“悪の体現者”として吉本荒野になり切ったのである。
『家族ゲーム』の最終回では、田子雄大が吉本荒野となった真相を、水上沙良(忽那汐里)が沼田慎一(神木隆之介)に明かす。慎一は吉本荒野(櫻井翔)から最後に告げられた課題「家族を再生させろ」を行動に移すのだ。彼は家族会議を開いて吉本が記した「家庭教師記録」を読みあげる。
慎一の行動がきっかけとなり、次の日に弟の沼田茂之(浦上晟周)が家族を倉庫街に呼び出す。彼は中学生の友人たちによるいじめの現場で自分の決意を示し、家族に「変われる」ことを見せようとしたのだ。その姿に刺激を受けた沼田家は再生へと歩み出すのである。
そんな最終回について、ツイッターでも「家族ゲームが終わってポッカリ穴が空いたみたいです」、「最近、録画でなくリアルタイムで見たくなるドラマは、家族ゲーム以外無かったです。それほど次が楽しみだった」と番組の終了を惜しむつぶやきが見られる。
「見ながら、うちの家族も同じだなって思う。だから、言葉の一つ一つが身体にズキズキ突き刺さった」、「家族だって自分じゃないって意味では他人だし、伝えなきゃ伝わらない」といった自身の環境に照らして家族を考える視聴者が多いのもこのドラマならではだろう。「家族ゲーム見て変われる気がした」、「自分自身が強くならなければいけない。俺も変われるんじゃないかな」と自身の変化のきっかけとなった視聴者もいるのだ。
また、『家族ゲーム』番組サイトの“イマつぶ”にも「私の家族というものは絆など1ミリもないと思っています」、「親子で絆が無いと思っているのならそれは絶対違う! 少しはあるはず!」といった、家族について思いを明かす内容が寄せられている。
中には小学校2年生の息子さんが放送前に寝てしまい、見られなかったことで泣き出したと報告するお母さんもいた。息子さんは録画した『家族ゲーム』を「感動の最終話、真剣に見てます」という。この息子さんに限らず、『家族ゲーム』を見た子どもたちはどのように受けてとめて、何を考えるのだろうか。彼らが家族について真剣に考え始めた時に大人はどう対応するのか。沼田家の二の舞にはならないようにしたいものだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)