幼少時から極度の人見知りで内気な性格だった、お笑い芸人の黒沢かずこ(森三中)。小学生の頃は食堂を営む両親が帰宅するまで、ひとりでテレビを見て過ごすことが多かった。そんな彼女が夢中になったのが、お笑いコンビ・ダウンタウンである。“彼らに会ってみたい!”思春期の少女の憧れが、黒沢をお笑いの世界へと導いたのだ。
今月12日から始まったNHK BSプレミアムドラマ『嘆きの美女』で、主演に抜擢された黒沢かずこの役どころは“容姿へのコンプレックスから、美女に意地悪をする女”。撮影は順調に進んでいるようだが、未だに黒沢はドラマの監督と直接言葉を交わしていないという。
ドラマの撮影現場にある日、森三中が司会を務める『ドラクロワ』(NHK総合)が黒沢の密着取材のためカメラを回していた。1月18日の放送分が「黒沢かずこスペシャル」だったからだ。今も人見知りの激しい彼女にとって、慣れないドラマの撮影現場は気を遣うことの連続である。自分の出番が終わると公園の植木の影にうずくまり、身を隠して休憩している黒沢の姿があった。
森三中の人気が出始めた頃、嫌な噂を黒沢は耳にしたそうだ。「森三中は2人組だよね」。明るくハツラツとした大島美幸と村上知子の人気が先行し、口下手の黒沢が目立たなかったからだろうか。なんとテレビ局では一般人と間違えられ、楽屋に入れてもらえないことさえあったのだ。
“このまま芸人を続けて良いのだろうか”思い悩む黒沢を励ましたのは吉本興業の先輩、藤井隆であった。「黒沢の歌には光るものがある」と、何かと目をかけてくれたという。彼の励ましの言葉は“自分の価値を認めてくれる人がいた”と、黒沢にお笑いを続けて行く自信を与えたのだ。藤井自身も普段は人見知りで、親しくしている芸人も非常に少ない。似ている性格の黒沢に、自分の才能を信じて頑張って欲しかったのだろう。
また庄司智春(品川庄司)にも、黒沢は感謝しているそうだ。森三中の3人に均等に話しかけてくれた、数少ない先輩のひとりだという。吉本の舞台稽古で休憩中、大島と村上は周りと楽しそうに喋っていた。だが、黒沢は“絶対に人が入れないような”隙間に入って身を隠していたらしい。「そんな姿を見たら、話しかけずにはいられなかった」と、庄司は明るく笑った。
この話を聞いているうちに、庄司の相方である品川祐の顔がふと浮かんできた。品川と一緒に坊主頭になった庄司は、本当に優しくて思いやりのある男である。この庄司を相方にできた品川には、彼を大切にして欲しい―と感じたのだ。
(TechinsightJapan編集部 みやび)