全国ツアー中の舞台『大奥 第一章』に出演する女優の鷲尾真知子がテレビ番組で公演の裏話を明かした。春日局を演じる松下由樹との場面でそのハプニングは起きた。鷲尾は訳の分からないまま松下に平謝りしたというのだ。
時代劇ドラマで人気となった『大奥』シリーズの舞台版が公演中だ。2004年に放送された木曜劇場『大奥~第一章~』(フジテレビ)で大奥総取締の春日局役を務めた松下由樹が、今回の舞台でも同じ役で主演している。
そのドラマ中で奥女中の葛岡を演じた鷲尾真知子は吉野役の山口香緒里や浦尾役の久保田磨希と奥女中トリオ“大奥スリーアミーゴス”と呼ばれて人気があった。舞台でもその葛岡を演じている鷲尾真知子が11月2日の『ライオンのごきげんよう』(フジテレビ)に出演して松下由樹のエピソードを話した。
「春日局といえば大奥を作ったといわれる権力者で、それはしっかりして怖い方なんです」と鷲尾は語る。その春日局になりきった松下由樹は普段の穏やかな印象とは全く違い、凄い迫力だというのだ。
ある公演で春日局の横に従って葛岡が舞台に登場する場面でのことだ。「ふと見ると、私の横に春日局が横たわってるじゃないですか!」と鷲尾は状況を説明した。『転んじゃった!』と気づいた鷲尾は咄嗟に自分がとるべき行動を考えたが、カツラをつけて履物の高さも影響してかなりの長身になった松下由樹になす術もない。
『このお方を抱き起こすのは無理だ』そう判断した鷲尾は土下座をする勢いで「申しわけございません! 申しわけございません!!」と平謝りしていたのだ。
やがて松下由樹の春日局は自力で起き上がると平然と歩き出し、葛岡もそれに従って演技を続けたのである。「お客さんも驚いたような反応はなかった」と鷲尾は話しており、観客もすべて元々脚本にある演技だと思ったようだ。
鷲尾真知子は「あの時は家来として、謝るしかなかった」と心境を明かす。しかし彼女はその後も自分が松下の着物の裾を踏んでしまい、彼女が転んだのではないかと心配だったのである。
舞台が終わって鷲尾は思い切って「由樹ちゃん? 私、踏みました?」と本人に確認したのだ。すると松下由樹はにこやかに「違うのよ。ちょっとあのシーンをハードにしたくて、自分で自分の掛けを踏んで転んだだけなの」と答えたという。
舞台の演出を追求する松下由樹も凄いが、彼女のアドリブに咄嗟に対応してそれを引き立てたベテラン・鷲尾真知子の実力もさすがである。2人の女優魂が感じられるエピソードだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)