writer : yonashi

【ドラマの女王】視聴率不振でも、イメチェン武井咲が底知れぬ実力を発揮。『東京全力少女』。

今年の4月期に放送された『Wの悲劇』から3クール連続の連ドラ主演となる武井咲の『東京全力少女』(日テレ系)。このドラマで武井は今までの自身のイメージを払拭するような姿を見せている。

香川県の琴平から父親を捜すために東京にやってきた佐伯麗(うらら/武井)は、上京して早々全財産62万1000円を盗まれてしまう。途方に暮れる麗に、比嘉愛未演じる芹沢華子という女性がある人物を紹介する。その人物こそが15年振りに再会した父親・鈴木卓也(渡部篤郎)だった。

今まで大人しい、もの静かに話す役柄の多かった武井が、今回は正反対の麗を演じる。これまでの出演作の中でも『アスコーマーチ 明日香工業高校物語』(テレ朝系)の吉野直はどちらかといえば麗寄りだが、これほどまでに喜怒哀楽を素直に出し、周囲の迷惑もおかまいなしに行動する武井咲は珍しい。派手な色使いのファッションや、ご機嫌に鼻歌を歌いながらの入浴、顔を粉だらけにして夜通しうどんを打つなど、どちらかといえば同じ事務所の剛力彩芽が得意としそうな役を演じる武井の姿はとても新鮮だ。

そんな武井に驚くばかりで、肝心の内容がよく分からないまま第1話が終了してしまった。前回放送の第2話を見たところ、父と娘のドタバタライフといったところだろうか。空白の15年間をどのように埋めながら親子になっていく…という話なのだろうか。どうにも一筋縄ではいかないような気がするのは、麗がまだ何か隠し持っているような気がしてならないからだ。それだけ今回の武井は不思議な魅力を持っている。

渡部と武井が繰り広げる噛み合わない会話のやりとりはテンポもよく、見ていて面白い。ドラマのストーリーは別として、ただ単純に面白いと思うのは、ひと昔前のコメディのようなノリだからだろうか。あの親しみのあるノリは、ストーリーや演出ではなく登場人物の魅力だけで面白いと思わせてしまう。それだけの技術も必要だ。視聴率こそ不調ではあるが、今回の麗を演じることで食傷気味だった武井に対する見る目が変わった。彼女には、まだまだ底知れぬ実力が眠っているのかもしれない。今後の武井を楽しみにさせてくれるドラマになりそうだ。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)