芸人にとって『徹子の部屋』への出演は夢である。しかし出演後は、司会者・黒柳徹子から繰り出される無茶ぶりや破壊的なマイペースによりその夢が悪夢へと変わる。黒柳にとって、戦いを挑んでくる芸人たちはどう映るのか。その本音が語られた。

1976年にスタートし、“芸能人”と呼ばれる人ならば一度は出演を夢見る、日本の国民的長寿番組『徹子の部屋』（テレビ朝日）。しかし、一方で出演した芸能人は、芸人・俳優問わず、司会の黒柳徹子から繰り出される無茶ぶりやマイペースなリアクションに、必ず負け試合を強いられてしまう。特にお笑い芸人にとってのハードルはさらに高く、『徹子の暴走電車に乗るしかない』とまで言わしめた、まさに超難関番組だ。同局・『アメトーーク』では、そんな芸人たちの負け戦にスポットを当てる、“徹子の部屋芸人”という企画さえあるくらいだ。

そんな国民的長寿番組『徹子の部屋』の司会者・黒柳徹子が『大竹まこと ゴールデンラジオ』（文化放送）に出演し、ゲスト出演する芸人に対する思いを語った。

芸人に「面白いことをやって」とリクエストをしたにも関わらず、「終ったの？」「どうぞお座りください」と紋切り型でネタを終わらせることがある黒柳。そんな自身の姿をDVDで観て、もう少しうまいやり方がないのかと、反省することがあるのだという。しかし、お世辞で“うそ笑い”をしたとしても、毎日『徹子の部屋』を観てくれている人にはバレてしまう。黒柳は、飾らず、その時感じた通りの反応をしていると語った。そればかりか、黒柳自身も芸人がゲストのときは「笑えないかも」とビクビクしてしまうと意外な本音を吐露した。

特に印象に残っているのが間寛平をゲストに招いた際のことだという。寛平は、オープニングで突然「かいーの」と持ちギャグを披露したのだ。すると、黒柳は本当にかゆいところがあるのかと、「は？」と戸惑ってしまった。後日、黒柳は、寛平からその時の心のうちを「ズタズタにされた」と告白され申し訳なく思ったと語った。

司会者・黒柳徹子も若く見えるがすでに79歳だ。いくら、その時一番面白い旬な芸人が来ても、ジェネレーションギャップは避けられない。「芸人殺し」「暴走列車」とも言われる黒柳ではあるが、実は誰より真剣にゲストと向き合っているからこそなのだ。黒柳を笑わせること、それは芸人たちの憧れで到底かなわぬ夢として今後もこの番組とともに存在し続けて欲しい。
（TechinsightJapan編集部 佐々木直まる）