工藤静香、現在42歳。元おニャン子クラブのメンバーでありソロデビュー後は、ヒットを連発し歌手として時代の頂点に上り詰めた。その後30歳でSMAPの木村拓哉と結婚し、二女に恵まれている。常に注目される人生を歩いてきた彼女だが、決して順風満帆であったとはいえない。その人生の節々で工藤の思い出に残る音楽を紹介しながら、“自分らしい生き方”を常に探し続けた当時を振り返った。
4月27日、5月4日と2夜連続で放送された『ミュージック ポートレイト』(NHK)では、工藤静香が女装タレントのミッツ・マングローブと対談、音楽と出合った幼い頃から生き方に苦悩した青春時代、そして大人になった現在までのお互いの人生を思い出の曲と共に語り合った。
「自分だけの人生で無くなる覚悟」をして結婚したという、工藤。14歳で仕事を始めてから全ての時間を、自分のために使ってきた人生である。「好きだから一緒にいたい」という一時的な勢いではなく、「他人と暮らすことは、自分が第一優先ではなくなる」ことを納得した上で、彼女は結婚に踏み切ったと話す。だから、自分の生活が家事や育児が中心となっても、心の中で葛藤や違和感はなかったそうだ。
母親としての工藤は、「すごい神経質なママ」との自己評価だ。彼女が子どもの頃は、外出から帰宅しても“うがい、手洗い”など習慣化されていた記憶が無いと話す。だが、いざ自分が母親になると“うがい、手洗い”どころか、細かい生活習慣にまで子どもに指示してしまうらしい。「言ってあげられるのは今しか無いし、親しかいないですよね」と工藤はミッツの予想に反して、口うるさいと子どもに思われているタイプの母親のようだ。
工藤が日本のアーティストでよく曲を聴くのは、彼女が独身時代から楽曲を提供してくれた尊敬する中島みゆきである。そして子どもと一緒に聴いているのが、絢香とのこと。絢香の“純粋に歌っている感じ”に心を打たれたという工藤は、子どもにも彼女のアルバムをよく聴かせるらしい。工藤が運転する車の中にある日本人の曲は、中島みゆきと絢香だけだそうだ。
また人生の中で一番聴いた曲が、「トゥルー・カラーズ」(シンディ・ローパー)だと語る。今でも何気なく聴くことがあり、「あなたのことは分かっているから、いいんだよ」と安心できると話す。“大丈夫だから”と、優しくシンディに背中を押されたような気がするそうだ。工藤は常に“自分らしい生き方”を求め、妥協はしてこなかった。だかその彼女の姿勢が、周囲との摩擦を生んだことも多々あるのだろう。そんな時に「トゥルー・カラーズ」をかけていたのだろうか。
自分の人生が終わるときは、感慨にふけるのではなく「よく頑張ったな」と満足しながら死にたい―という工藤の言葉に、その人生観が伝わってきた。強い女性である。
(TechinsightJapan編集部 みやび)