元モーニング娘。のメンバーが、テレビ番組でつんく♂の印象を語った。彼女達はオーディションからデビューまでの期間が短いこともあり、つんく♂から伝授された独特なトレーニング方法を紹介した。自身がミュージシャンであるつんく♂らしいその内容は、短期間で“アイドル”を育てる為の実戦的なものだ。
JR大阪城公園駅から大阪城ホールまでの“城天”と呼ばれるエリアでは、多くのアマチュアミュージシャンがストリートライブをやっている。つんく♂がボーカルを務めるバンド「シャ乱Q」は、その先駆け的存在でもある。
3月7日に放送されたNHKの音楽番組『SONGS』ではつんく♂を取り上げており、その頃の彼の活動が紹介された。
城天時代のつんく♂を知る人は「自分のバンドで手いっぱいなはずなのに、後輩のバンドの面倒を見るようなところがあった」と当時を語る。つんく♂はこの頃から後輩バンドをプロデュースしており、その経験が後にハロー!プロジェクトへとつながるのだ。
また、近畿大学時代には他の大学の学生とイベントグループを結成して、毎週のようにディスコパーティを企画していた。つんく♂は「エンターテインメントを知ったのはこの時だった」と振り返る。後に大ヒットするモーニング娘。の「LOVEマシーン」はディスコミュージックの要素が特徴的だが、この頃の影響だそうだ。
やがて「シャ乱Q」もヒットが続き、つんく♂も人気アーティストとして知られるようになる。その彼が1997年にテレビ『ASAYAN』の企画でモーニング娘。のオーディションを行い、結成からデビューへと関わっていくのだ。
「素人同然の彼女達をデビューさせるまでに時間が無かった」と語るつんく♂。メンバーに短期間で世間に通用するレベルのパフォーマンスを教え込むことに苦悩したのである。
当時のモーニング娘。で1期の飯田圭織、安倍なつみと2期の保田圭が、そんなつんく♂から教わったパフォーマンスの基礎を体得する方法を明かした。
「『16ビートやでっ! 街中で音を聞きながらずっと16ビートをきざめ』ってとにかく言われて、本当にいつもやってました」と彼女達は指でリズムを取りながら懐かしそうに話した。
さらに彼女達は「歌の頭に”ん”を入れるように教わりました」と明かす。これについてはつんく♂自身が説明しており、「“あんたにゃ”を“んあんたにゃ”と頭につけて歌うことでリズムが突っ込まなくなる」と言うのだ。
また、モーニング娘。のヒット曲の秘密について、彼女達は「“アニメ声”を使うこと」や「“アチョー”とか“セクシービーム”とか叫び声を入れる」などが隠し味になっていると分析していた。もちろんそれもつんく♂の発案だ。
つんく♂はデビュー前のモーニング娘。にそうしたポイントを教えることで、短期間で国民的アイドルに育て上げたのである。
そんな彼女達は、現在はドリームモーニング娘。として活躍している。次世代による本家、モーニング娘。をはじめBerryz工房、℃-ute、スマイレージなどハロー!プロジェクトでつんく♂が関わるアイドルは、その後も続々と誕生しているのだ。
そんな彼女達を、つんく♂は「僕の分身ですよ」と表現した。ひとりでは歩けない人生を、彼女達が歩いてくれるのが楽しみだと嬉しそうに語る。
つんく♂は「元モー娘。にも子どもが出来たメンバーがいるので、その子どもがモー娘。になると面白い」とも話しており、その頭には10年以上先の構想も浮かんでいるようだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)