『ボラット』や『ブルーノ』を大ヒットさせた、ハチャメチャおかしな俳優サシャ・バロン・コーエン(40)。彼が主演で今年5月から世界数十か国で公開される、期待の新作コメディ映画が『The Dictator(独裁者)』である。そのプロモーションに俄然乗り気のコーエンに、アカデミー賞協会が「待った」をかけた。
いつでもどこでもド派手にお騒がせというこの男、レッドカーペットでも女優のあでやかなドレスには負けないとばかり、常に血気盛んである。現地時間の2月26日(日)に開催される『第84回アカデミー賞授賞式』に、独裁者の格好に身を包んで登場したい旨を伝えたところ、米映画芸術科学アカデミー協会(The Academy of Motion Picture Arts and Sciences)がこれに渋い顔を見せた。
その『The Dictator』、中東のとある国で独裁政権を築く“アラディーン”将軍がアメリカに殴り込みをかけ、各地でドタバタを繰り広げるというストーリーがいかにもコーエンにぴったり。モデルは、昨年10月に殺害されたリビアの「カダフィ大佐」だそうだ。
製作・配給のパラマウント社は、「その授賞式のレッドカーペットでヘンな振る舞いを起こさない、そう確信しなければサシャ・バロン・コーエンは入場お断りだそうです」とカンカン。同協会の広報担当者は、「別に締め出すと決めたわけではなく、彼の意図するところを確認しているだけです」と慎重な答え。だが協会幹部からは「レッドカーペットは、スタントの場でも動物園でもない」とイライラする言葉も聞こえてきている。
実は同協会、コーエンの俳優として実力や魅力を十分に評価しているものの、彼独特の悪質なふざけ心にはかなり手を焼いて来た。07年、授賞式のプレゼンターの役をオファーされたコーエンは、『ボラット』のスタイルでステージに上がってはならないという協会からのお達しに、その役をアッサリ蹴っている。
「抱腹絶倒」という言葉に偽りナシであった、06年の大ヒット作品『ボラット』。記者も涙を流しながら大笑いした。よって、今回のアカデミー賞授賞式にコーエンの姿があろうとなかろうと、『The Dictator』は必ず観たいと楽しみにしている。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)