23日にこの世を去った歌姫エイミー・ワインハウス(享年27)の父、ミッチさん(60)が、エイミーの死を悼み、いつまでも彼女の自宅前から去ろうとしないファン達に、ちょっとした「お礼」をした。彼女の衣服など遺品の一部を、「これがエイミーの望んでいたことだ。」と気前良く彼らに分け与えたのである。
エイミーがベッドの中で死亡しているところを発見された自宅の前には、いまだにファン達が去ろうとせず、連日祈りを捧げているというが、彼女の父ミッチさんは、彼らエイミーの熱烈なファンに恩返しをしたかったに違いない。
お葬式も無事済んだ28日、ミッチさんやエイミーの兄のアレックスさん、母のジャニスさん(56)らをはじめとする家族が、エイミーの遺品を整理するために、カムデン・スクエアにある自宅アパートにやって来た。しばらくして出て来たミッチさんの手には、エイミーが生前着ていたTシャツや、タンクトップ、ジュエリーやサングラスといった小物が握られていた。
ミッチさんは上の写真のように、突如それらをストリートで見守っていたファン達に、配り始めた。「これはエイミーのTシャツなどです。ファンに彼女の衣服をもらって欲しい、これがエイミーの望んでいたことです。」と説明したそうだ。
エイミーがステージで愛用していた白いタンクトップを手に入れた17歳のファン、マーセラ・ライトさんは英紙『ザ・サン』に、「エイミーは私のアイドルでした。」と語り、タンクトップを自ら着てみせた。ロンドン在住のブリジット・ピヴィダルさん(52)は、手に入れたエイミーの赤いベストを、匂いを嗅ぐように口元に近づけると悲痛な表情で「これは一生大事にします。」と語った。別のファンはエイミーのTシャツを見て、「彼女のカラダのように小さかった。」と感想を漏らした。ファン達は、われもわれもと手を伸ばし、エイミーの遺品を手に入れたがったようだ。
しかし、エイミーの遺品のうち、彼女のギターや作詞用のノートブックは、家族が手元に遺したという。中でも、エイミーがいつもすりきれるまで履いていたピンクのバレエシューズは、ミッチさんが自分のズボンの尻ポケットに入れて持ち帰るほど、肌身離したくなかった様子である。
ミッチさんは、遺品を全て配り終えると「God Bless Amy Winehouse(エイミーに神のご加護を)」と声をかけ、タクシーに乗ってその場を後にしたそうだ。家族はその後、皆でユダヤ教のシナゴーグに赴き、服喪期間「シヴァ」の最後の晩を終えたと言われている。ミッチさんとジャニスさんは、その後エイミーが好きだったロンドンのソーホー地区にあるクラブ、『Jazz After Dark』でエイミーの友人のケリー・オズボーンやエイミーの音楽プロデューサーのマーク・ロンソンらと合流。ジャズを聴きながら、早すぎるエイミーの死を偲んだ。
ミッチさんはお葬式の前日、25日にも集まったファンの前に姿を現し、「皆さんが集まってくれたことがどれだけ意味があるか計り知れません。」「私達は悲しみにうちひしがれていて言葉もありませんが、来てくださってありがとうございます。」とお礼の言葉を述べていたという。悲しみのどん底にあるであろうエイミーの家族達だが、ファンと悲しみを共有して、ショックを乗り越え前に進もうとしている。
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)