エンタがビタミン

writer : maki

【エンタがビタミン♪】「やめちゃうのよね? 」。池上彰がテレビ番組で惜しまれつつラストメッセージを贈る。

ジャーナリスト池上彰(60)がレギュラー出演していた『教えてMr.ニュース 池上彰のそうなんだニッポン』の3月29日放送で最後にテレビ関係者としての決意を語った。

報道系の番組で分かりやすい時事解説をすることで人気のある池上彰はこの日、生放送を中心に震災関連と世界各国の情勢などを解説した。
彼は既に3月いっぱいでテレビ番組から一旦、身を引くことを発表している。この日は4時間超に及ぶスペシャル番組を時間を感じさせない名解説でこなし、最後にラストメッセージを贈ったのだ。

その前に、昭和からテレビが果たした役割は大きく、東日本大震災の時は3つの役割を果たしていると彼はまとめた。
1つは「行政を動かす」役割を果たした。国の行政は自治体からの要請を受けて動くのが基本だが、今回の震災ではテレビが何度も被災地の状況を報道した。そのことで国は自治体自体がダメージを受けて『役場が存在しない現状』を知ったことで『要請を待っている状態ではない』と認識して早期に動けたという。
2つ目は「人命を救う」ことに役立ったことだ。地震や津波の発生直前ではあるが、緊急速報を出して人々に心の準備をしてもらえたことで『避難できた方、身構えた方が少なからず命を落とさずに済んだ』。残念ながらそれでも間に合わなかった方も多いのだが一定の役割を果たしたといえる。
3つ目は「支援を広げる」ことに役立った。今回の『未曾有の被害』を広く伝えることで何が必要か、何ができるのかを伝えた。それにより日本、そして世界からの支援の手が差し伸べられたのだ。
さらにはインターネットのツイッター、ブログ、フェイスブックなどが大きな役割を果たしたことも伝えた。

彼のいつもながらの分かりやすい解説には共演者らも納得してうなずいていたが、その池上彰が同番組では今回で最後となるのだ。共演者の秋野暢子から「でも、池上さんやめるのよね」と惜しむ声も聞かれた。
池上彰は最後に「これまでテレビは楽しいこと、悲しいこと、いろいろなことを伝えてきた」と語りだした。それは数分に及ぶもので、彼が最後にテレビ関係者としての気持ちが表れていた。その主旨はこうだ。
『人々がテレビを見て感動して、ある時は世の中をそして政治を動かしてきた。それがテレビなのだ。テレビで働くものはその力を十分理解しなかったところもあるのではないか? そのために俗悪番組が出たと批判を受けたこともある。テレビの技術に放送する人間側がついていけなかったこともある。
しかし、阪神大震災の時に私たちはいろいろなことを学んだ。それが今回の東日本大震災で微力ながらも人々のお役に立っているのではないか』という内容だった。

さらに池上彰は「テレビにはその可能性があり、働くものがそれにどこまで気づいているのか? 被災地の方がテレビで『(居場所を知らせたいので)私の顔を流して』と言われるように、テレビを信頼してくださる方がいる。そしてテレビで働く側もその期待に応えなければいけないと強く思う」と伝えて番組を終了した。
彼がテレビ番組出演を一旦取りやめて取材活動などに専念するとしたのは、震災前だった。事態が急変して他番組では4月以降の出演も発表されたが、彼の明快な解説を少しでも多く聞きたいものだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)