writer : testjournalist

【ドラマの女王】設定もキャタクターも魅力がないのに高成績。フジは視聴率をどう「コントロール」した?

昨年大ヒットしたNHK連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」でおなじみの松下奈緒が主演している「CONTROL~犯罪心理捜査~」(フジテレビ系)がなかなか健闘している。「ゲゲゲ~」ですっかり幅広い年齢層からの支持を得た松下効果のおかげか、視聴率は13%前後をキープしている。だが、この事実に驚いている人も多いのではないだろうか。

真っ直ぐで考えるよりもまず行動してしまう熱血刑事・瀬川里央(松下)と冷静な心理学者で大学教授・南雲準(藤木直人)が一緒に事件を解決していくのだが、最近はその設定も忘れるような内容になっている。
女刑事と大学教授のコンビといえば「ガリレオ」の柴咲コウと福山雅治が思い出される。「ガリレオ」でもそうだが、このようなデコボココンビは必ず二人の掛け合いが見所となる。しかし「CONTROL」の二人にはそのような掛け合いも回を重ねるごとに少なくなり、当初は自分だけ捜査に参加出来ないことへのいら立ちで南雲に反発していた瀬川だが、今では自ら心理学的見解を積極的に取り入れてしまう始末。ここまで素直すぎると張り合いがない。一方、簡単に瀬川を手なずけてしまった南雲もはじめこそは心理学にスポットを当てられていたのだが、彼が直接事件を解決するわけではないため警察をねぐらとするご意見番のようになっている。今や完全に容疑者の供述が嘘か真かを調べる嘘発見機と化している。

そんな瀬川と南雲が親密な関係になるのではないかと心配する瀬川の同期・寺西景(横山裕・関ジャニ∞)と三角関係へと発展するのかと思いきや、そうでもない。せっかく3番手として名前が出ているのに未だ見せ場のない横山。やっと第8話でメインの話になるもゲストの柏原崇に持って行かれてしまい踏んだり蹴ったりである。同じ関ジャニ∞のメンバーで同じ枠の刑事ドラマ「ジョーカー 許されざる捜査官」に出演していた錦戸亮とは大違いの扱いである。

事件の内容も特にひねりがあるわけでもなく、最近の刑事ドラマにしてみれば珍しく地味でシンプルなもの。それこそ何も考えずに犯人を当てることが出来る2時間ドラマのようである。このドラマは若者よりも2時間ドラマが好きな世代に向いているかもしれない。
もしかしてこのような作りになっているのは、「ゲゲゲ」で獲得した松下のファンを考えてのことだろうか。最近の凝った設定の刑事ドラマはどちらかといえば若者向けである。少し年配の方には難しくてついていけない設定も多い。だが、火曜9時は若い世代が毎週家でテレビを見られる時間ではない。少し対象年齢を親世代に上げれば、毎週見てくれる視聴者を獲得出来る可能性は上がるだろう。

そしてそのまま、仲間由紀恵が復讐に燃える「美しい隣人」に繋げる。実はこの2本視聴率が同じくらいなのだ。「美しい隣人」も若い世代というより少し大人向けといえる。2時間ドラマが好きな世代が「CONTROL」を見て、そのまま見るにはちょうど良い流れである。2時間続けて重苦しく頭を使うドラマは視聴者も疲れてしまう。だからといってコメディにしてしまえば好みは割れてしまう。視聴率もだいぶ変わっていただろう。
フジテレビは今クールの火曜ドラマ枠の対象年齢を上げることで、上手く視聴率をコントロール出来たのではないだろうか。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)