エンタがビタミン

writer : maki

【エンタがビタミン♪】『金だらいギャグ』の発案も。谷啓にとって「テレビは遊び道具」だった。

9月11日急逝した谷啓はミュージシャン、コメディアン、俳優とあらゆるシーンで活躍してきた。「テレビは遊び道具」と語っていた彼は数々のギャグを作った事でも知られる。

KinKi Kidsの堂本光一が9月に出したNew Album「BPM」のCMにスーツ姿で渋く決める光一の頭上から『金だらい』が落ちてくるというバージョンがあるのをご存知だろうか。
たらいが落ちた瞬間に彼の首が一瞬縮むほどの衝撃なのだが、表情ひとつ変えないという渾身の演技に感心して、やがて笑ってしまうCMである。

オレたちひょうきん族」やドリフの「8時だョ!全員集合」などを知っている世代はこの『金だらい』ギャグを知っているのだが、若い世代には「新手のネタ」と取られるようだ。
9月13日の「DON!」の中で谷啓本人がこのギャグについて語ったビデオが放送された。

同番組では急逝した谷啓を偲ぶために、2001年4月5日に放送された『ブラウンさん』で中山秀征(ヒデ)が谷啓とトークする場面を一部紹介したのである。
ヒデが「金だらいを初めて落としたのが谷啓さん(と聞きましたが)?」と話を向けると、谷啓がそれに答えたのは次のような内容だった。
彼の所属していたバンド、クレージーキャッツはテレビ時代の初期から出演しており、NHKの試験放送にも出ている。まさにテレビと歩んできた人生なのだ。
そのクレージーキャッツがコントで頭上からたらいを落として『オチ』をキメるギャグがテレビで大ウケしたのだ。世間では『金だらい』といえばクレージーキャッツというほど知れ渡ったのである。

やがてザ・ドリフターズが人気番組「8時だョ!全員集合」などでこの『金だらい』ギャグを用いていった。以来コントなどで定番のギャグとなったが最近はさすがにあまり見かけなくなった。そこに久々に堂本光一のCMで使用されたというわけである。

話は戻り『ブラウンさん』で谷啓は自分にとって「テレビとは何か?」と問われてこう語った。
「人を驚かせる、感動させる、笑わせる、そのための道具」と答えると彼はテレビを自分の遊び道具に使っているんだと補足した。トロンボーンの演奏も数々のギャグも俳優としての名演も、彼は様々な面で才能を見せた。それらの目的は同じで、谷啓はとにかくテレビを通して遊んでいたのかもしれない。心よりご冥福をお祈りする。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)