エンタがビタミン

writer : maki

【エンタがビタミン♪】TUBE「あー夏休み」で解散寸前だった。“ヤケクソ”で書いた曲で覚悟決めていた。

梅雨が明けるといよいよ暑い夏がやって来る。夏歌の定番と言われるバンド、TUBEも今年は結成から25周年ということで気合が入っている。サザンオールスターズが無期限活動休止した今、長寿バンドの代表格ともいえる彼らだが、実は過去には解散の危機もあったという。

1985年にデビューしたTUBEは3枚目のシングル「シーズン・イン・ザ・サン」の大ヒットを皮切りに“夏歌”のヒットを連発して「夏といえばTUBE」と言われるほどになった。
同曲を含めて「SUMMER DREAM」、「Beach Time」などのTUBEの定番曲は作詞・亜蘭知子、作曲・織田哲郎によるナンバーである。

そんな彼らが1990年に出した11枚目のシングルが「あー夏休み」だった。この頃からTUBEは楽曲を自分達で作詞、作曲するようになっていたのだ。それは「織田哲郎さんの曲みたいにカッコよくできずとも自分で作った歌を歌いたい」という彼らの希望によるものだった。しかし、それは決して楽なことではなく、作る曲がことごとく却下される日々が続いて行くのである。

7月9日のテレビ「ミュージックステーション」に登場した彼らはその頃を思い出して話した。
書いても書いても楽曲にOKがでないので、ヤケクソになって書いたのが「あー夏休み」だというのだ。作詞は前田亘輝(ボーカル)、作曲は春畑道哉(ギター)によるものだった。
これが意外にも「いいねー!」とOKが出て歌うことになったのだ。ところが事務所は「じゃあ、これ着物で行こう!」と言い出したのである。

そもそも「あー夏休み」の曲調や詞の内容がこれまでのTUBEとはかなりイメージが違うものなのだ。
これはヤケクソで書いたのが彼らなのだから仕方ないことだし、ようやくGOサインが出たのでそこは抑えて歌うことにしたのが本音なのだ。そこに「着物(浴衣姿)で歌え」といわれたのでショックは大きかった。
ボーカルの前田亘輝は、この時メンバーが「これ出したらやめような」と解散も考えていたことを明かした。彼もそれを止めることはできなかったという。

ところが、この「あー夏休み」が大ヒットしたのである。浴衣姿で熱唱する前田をテレビで見た記憶がある方も多いだろう。ヒットしたら話は別で「オレもけっこうやるな」と前田は思い直した。そしてやはり、TUBEメンバーも同じ気持ちだったのだ。

2010年、25周年を記念して出した51枚目のシングル「灼熱らぶ」はもちろん前田、春畑コンビの作品だ。前田はこの曲に関して「意識的に昭和のサウンドにこだわった」と話すように、そこには「あー夏休み」と同じ香りがするのである。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)