今回の【ドラマの女王】は、三浦春馬主演の『サムライ・ハイスクール』(日本テレビ系)。フジテレビ系『オトメン(乙男)〜秋〜』の岡田将生と、今や”2大美少年”をはる三浦。色白でキリリとしたまなざしは何とも若侍みたいでカッコいいのは認めるが、コミカルな演技はいまひとつ。それよりも、元々気弱な少年がサムライに変化して強気になるというアナログな設定にびっくり。なんでも草食から肉食にすればいいってものじゃあないでしょう。
何をやらせても中途半端な草食系男子の高校生・望月小太郎(三浦春馬)。ある日、古文書「大坂城陣中秘録」を読んでいる最中、自分と同姓同名の戦国武将・望月小太郎の魂が宿るようになる。その時以来、頭に衝撃を受けると自身のDNAが覚醒され、本人の意識とは別に、言動・立ち振る舞いがサムライになってしまう。そして次々起こる仲間のトラブルや自身の困難をサムライのもつ武士道精神で解決していく。
はっきり言って、見せられる若い子が気の毒になる、軽いノリばかりが目立ってテーマが見えてこないドラマ。「オトメン」や「イケパラ」など、本来フジテレビ系が得意とするジャンルだが、KAT-TUN・赤西仁が松竹梅魅録 に扮した「有閑倶楽部」など、日本テレビ系も時々この手の失敗を”やらかす”。ま、それなりに面白ければいいのだが、前クールの『華麗なるスパイ』(長瀬智也主演)がノリノリだったがために、『サムライ・ハイスクール』の若すぎるキャストがなんともうすっぺらい印象を与える。
両方出ている使いまわしヒロインの杏の歌が上手かったり、城田優が『交渉人』同様、変な役に挑戦したり、脇は若手なりに器用に頑張っている。しかし、肝心の三浦春馬の演じる元の小太郎が、何をやってもダメな草食系男子に見えないのが残念。どう見ても元から要領のいい利口な子に見える。サムライになった方の三浦もヘアメイクが少し変わっただけで地味だし。そもそも、侍=肉食系男子って発想がおかしいと思うのだが。
こういうギャップを表現したストーリーは、いかに強気なキャラより元の弱気なキャラの魅力を引き出すかがカギ。「男の子の魅力って何?」と、問われたら多くの女の子が「やさしさ」と答えるのではないか。主人公の高校生にサムライの人格が出て初めてわかった元の人格の良さ。ドラマのつくり手はそれを分かっているのだろうか。
(TechinsightJapan編集部 クリスタルたまき)