政権交代後、次々とドラスティックなお役所改革が実施されつつあり、長年の慣習がどのように変わっていくのか、しばらく新政権から目が離せない状況だ。
しかし、ここ数日話題になった、法案提出は原則政府とする措置も、複数年度予算の実施についても、すでにお役所においてはデファクトになっていたことを、改めて再確認しただけとも言えるので、せっかくなら市民の溜飲を下げる改革も行ってほしいものである。その一つとして提案したいのが、お役所の消耗品を市民が直接支給するという案である。
現在、お役所の消耗品調達事務は複雑を極めている。銘柄の指定は原則禁止。1円でも安く調達しなければならない。グリーン購入法に適合している商品でなければならない。そしてもちろん入札を執行して納入業者を決めなければならないのに、中小企業は優遇しなければならない。
これらの事務を行うための職員(物品係とか用渡係とか呼ばれる)がお役所ごとに存在している。
しかし、一つの市ごと、あるいは合同庁舎ごとに、「消耗品支給センター」のような機関を置いて、調達から支給事務まで一手に引き受ければ、現在のような物品担当職員などという存在を廃止できる。人件費の大幅な削減につながるのだ。
正確には、各課、各庁の消耗品要求を取りまとめて、消耗品支給センターから貰い受けてくる担当職員がいれば良い。
消耗品支給センターでは、各役所の要求を厳しく査定して、本当に必要と認められる消耗品しか支給しないことである。
たとえば、先週紹介したようなAdobe Acrobatの積極利用で、ボールペン、マーカー、付箋、コピー用紙などは使用量を大幅に縮減できる。そもそもこのIT時代にボールペンなどというものを大量に使うこと自体がおかしいのである。
お役所側では、「消耗品保管キャビネ」の前に【この消耗品は市民の税金で支給されたものです。大切に使いましょう】などという張り紙が出されることになる。訪れた市民もそれを見れば溜飲が下がるのではないだろうか。
溜飲が下がるのは市民だけではない。お役人にとっても「俺たち(物品担当者)の苦労を味わってみろ」とばかりに、調達事務を民間に任せてみてはどうだろうか。
なにしろ市民が調達した物品なのだから、特定銘柄ばかりであろうが、グリーン購入法に適合していなかろうが、知ったことではない。もちろん消耗品支給センターに対しては最低年に1回、財政当局の監査を入れる。
官民相互監視により、行財政の健全化も推進できるだろう。
(TechinsightJapan編集部 石桁寛二)