西荻窪でコーヒー豆を販売する102歳の男性、安藤久蔵さんに注目が集まっている。テレビ番組『出没!アド街ック天国』で西荻窪を特集した際に紹介されると、その元気な姿に感動した視聴者がツイッターで「西荻窪の安藤久蔵さまに恋した。102歳のおじさま」、「私も歳だとか言ってる場合ではない」とつぶやいている。実はエリアでは有名人で、彼について書かれたブログでは「『西荻のフォレスト・ガンプ』と呼ばれています」といった情報も見られた。
2月1日放送の『出没!アド街ック天国』(テレビ東京)で特集した“西荻窪”で11位に入った『アロマフレッシュ』は外観は地味で広くはないコーヒー豆の輸入販売店だった。
店主が4種類のみのコーヒー豆を仕入れから焙煎、販売まですべて一人でこなすということからコーヒーに精通していることが伝わってきた。店主の安藤久蔵さんが豆を焙煎する場面も流れたが80歳~90歳と思える風貌から長年こだわった技があるのだろうと感心したものだ。
ところが、安藤さんの年齢が102歳と明かされると、スタジオの出演者たちも驚いた。しかも彼の小説や映画よりもドラマティックな経歴が紹介されるとさらに衝撃的だったのだ。
安藤久蔵さんは慶應大学を卒業して大手商社に就職するが半年で退社している。「性に合わなかったんだな。ちゃんとやってるのに横からああだこうだと言われる。『この野郎』って辞めてやった」と語る彼には今も当時の気概が感じられた。
その後は水産会社を経営して、遠洋漁業で漁にも出たという。大学で山岳部に所属していた安藤さんは51歳からは登山に熱中。ケニア、コロンビア、アンデス、キリマンジャロなど海外の山々にも登った。その時にポーターを務めてくれた現地の人々と親交が深まり、毎年会いに行くようになった。
ある日、彼らから「自分たちが栽培したコーヒー豆を商社に卸しても販売価格の500分の1しかお金がはいってこない。安藤さん、あなたが直接仕入れて売ってくれないか」と頼まれたことがきっかけとなり、西荻窪で珈琲専門店『アロマフレッシュ』を始めたのだ。
驚くのは、安藤さんはその時、85歳だったことだ。仕入れから販売まで一人でこなして現在102歳。2014年2月5日の誕生日で103歳となる。自転車に颯爽と乗ってコーヒー豆を配達する姿はとても100歳を超えているとは思えないほど力強い。
映画『フォレスト・ガンプ/一期一会』の主人公は数ある経歴の中で“バッバ・ガンプ・シュリンプ”を設立してエビ漁で成功する。安藤さんが水産会社を経営したことや、海外での出会いからコーヒー豆を扱うようになった経歴はフォレストの“一期一会”を思わせる。彼が「西荻のフォレスト・ガンプ」と呼ばれるのもそのためではないか。
番組の出演者は安藤さんのVTRを見て「欲が無いんだよね」と感心していた。視聴者からも「『こだわってる』とか言わないところがカッコイイ」と感想がつぶやかれている。コーヒー豆については自慢しない安藤久蔵さんだが、健康のために次のことにはこだわるという。
「1日に30杯はコーヒーを飲む。水分はコーヒーでとっているようなもの」、「毎朝3時間のウォーキングを欠かさない」、「自家製ヨーグルトを毎日食べる」、「肉は食べない」といった生活に安藤さんの元気の秘密がありそうだ。
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(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)