現在7年ぶりに来日中のKISSが、テレビ番組でロック好きなタレントの栗原類と対談した。突然歌い出すなど終始KISSのペースにのまれた栗原類だったが、彼らが日本のロックバンドを熱心に勉強していることが分かると目を丸くして驚いていた。彼らの楽曲やパフォーマンスに日本のミュージシャンが影響を与えていることを思えば、より親近感が沸いてくる。
結成40周年を迎えた、米国のハードロックバンド・KISSはオリジナルメンバーのジーン・シモンズ(64)、ポール・スタンレー(61)と途中加入したトミー・セイヤー(52)、エリック・シンガー(55)の4人からなる。10月22日のテレビ番組『ZIP!』では、そのKISSの4人に栗原類が挑んだ特別インタビューが放送された。
インタビューのために用意された豪華な部屋に、KISSはジプシー・キングスが歌って日本でも有名になった『ボラーレ』を歌いながら入ってきた。会話が進まず「インタビューにならないよ」と栗原が弱っていると、「そろそろ、ロックンロールの話をしようか」と彼らから話題を切り出した。ポールは「今がKISSの最高の状態だ。俺たちが目指してきた形に到達するのに40年かかった」と語る。その最高の状態を見せるために、7年ぶりに日本にやって来たという。
KISSが熱弁を終えると、栗原類が場を和ませようとして「ずっと長い間メイクをしていますが、お肌にダメージはありませんか?」と気になっていたことを質問してみた。するとポールは、「このメイクは保湿作用があるから大丈夫。俺たちをビューティフルにしてくれるぜ!」とちゃんと答えてくれた。彼らにとってこのメイクは音楽同様にアピールする大切な要素なのだ。
それまで静かだったジーン・シモンズが口を開くと、「君の好きなバンドは? Perfumeか? EXILEか?」と栗原類に問いかけた。「EXILE TRIBEは何人だ? 50人か?」と次々と問われて、栗原類も「なぜ知ってるんですか?」と目を丸くしてしまう。
ジーンは「俺たちは日本のいろいろなものが好きなんだ」と続けると、「日本のバンドで気に入っているのは“THE YELLOW MONKEY”に“サザンオールスターズ”、そして“X JAPAN”にはとても影響力があった」と語った。さらに彼は「ずっと“THE YELLOW MONKEY”と“B’z”について勉強したよ」と、好きなだけでなく“STUDY”という言葉を使ったので、栗原類も「すげえ勉強熱心だ!」と舌を巻いていた。
KISSがそこまで日本のバンドを研究するのは、彼らがあらゆる可能性をパフォーマンスに取り入れようという意欲を持つからだ。KISSは奇抜なメイクや衣装の他にも火を噴いたり、ギターを破壊するなど様々なサプライズを準備してステージを盛り上げる。
ジーンは「俺たちは最高の努力をしているロックバンドだと自負している。スニーカーやTシャツを着てギターを弾く方が楽にきまっている。俺たちは準備に時間をかけるし、身体的にもかなり辛い」とステージングの苦労を明かす。ギタリストのトミー・セイヤーが「でも、自分たちのやっていることを楽しんでもいるんだ。最高のロックンロールバンドだよ。この4人がそろえば無敵さ」と続けた。
最後にポールはこう語った。「どんなバンドでもお金をかければ、大きなショーはできる。でも、KISSにはなれない。俺たちはKISSだ。そして誰もKISSにはなれない」と。
彼らが1973年に結成して日本でも大人気となった時代には、ビートルズの再来と言われたベイ・シティ・ローラーズやクイーンからエアロスミスまで多くのロックバンドが君臨してきた。そんな中で、ある音楽評論家が「KISSのライブは会場全体の空気がうねるようなノリがあり、他のバンドには無い大きなエネルギーを感じる」と評していたことを思い出す。今でも世界中のファンを熱狂させる彼らは、その得体の知れない何かを育て続けてきたのかもしれない。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)