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新卒サラリーマンの初任給平均は20万6千円 昨年とほぼ横ばい

100年に1度ともいわれた世界的不況も最悪期は脱し、景気は回復傾向にある。しかし、依然として雇用環境は先行き不透明な状況が続いている。この就職氷河期とも言える時期に入社した、ある意味で強運の持ち主と言える今年の新入社員も、いよいよ入社から1ヶ月を迎え、初任給をもらう時期となった。果たして、今年の初任給はどのくらいの額になっているのだろうか。気になる調査結果が発表された。

民間調査機関の財団法人労務行政研究所は、今年4月入社者の決定初任給を調査し、今月6日までにデータの得られた東証第1部上場企業238社について速報集計をまとめた。

調査は今年3月中旬から4月6日にかけて調査票の郵送と電話取材により行われ、東証第1部上場企業1700社と生命保険、新聞、出版でこれに匹敵する大手企業11社を加えた合計1711社のうち、6日までに回答のあった238社を集計した。なお、初任給は原則として時間外手当と通勤手当を除く諸手当込みの所定内賃金としている。

それによると、今回の速報集計では96.6%の企業が初任給を前年度と同額に据え置くと回答しており、ほとんどの企業で初任給の引き上げおよび引き下げが行われないことがわかった。

初任給の据え置き率は2002年度から4年連続で9割を超えていたが、2006年度以降は企業の採用意欲の高まりを反映し、低下傾向にあった。しかし、世界的不況に陥った昨・2009年度は一転して92.7%と再び9割を超え、2010年度はそれをさらに4ポイント程度上回っている。

また、初任給の金額を見てみると、各社平均で大学卒は20万5641円、高校卒で16万0996円の水準となっている。これは同一企業でみた昨年度の金額に比べ、それぞれ70円・0.0%、72円・0.0%の上昇にとどまっている。

去年と横ばいという今回の結果を、現在就職活動中の学生はどう捉えるか。 今回の調査結果の詳細は財団法人労務行政研究所で公開されているほか、『労政時報』第3773号にも掲載される予定だ。
(TechinsightJapan編集部 鈴木亮介)