writer : techinsight

【3分でわかる】封神演義 前編

 発祥の中国では四大奇書にも四大名著にも挙げられることはないが、多くの人に愛されている文学作品「封神演義」。日本にその名を広く知らしめたのは、1996~2000年に週刊少年ジャンプで連載されていた同名漫画である。

 中国最古の王朝、殷。若き明君「紂王(ちゅうおう)」が治めるこの国はますますの発展を遂げるかにみえた。しかし紂王が絶世の美女「妲己(だっき)」を娶ったことで状況は一変。邪心を持った仙女である妲己は“誘惑の術”で紂王を意のままにあやつり、権力を我が物とした。妲己と妲己が呼び寄せた悪しき仙人たちの悪政により、民は重税に苦しむ。そんな国を仙人界から見つめる一人の人間がいた。

 崑崙山脈で仙人になるための修行を続ける道士「太公望」。修行の一環として太公望は妲己とその仲間たちを人間界と仙人界の間に造った神界に封じることを師に命じられる。故郷の村を妲己に滅ぼされた経験を持つ太公望はこの指令を引き受けた。神界行きが決定している者の名が記された「封神の書」を手に旅立ったそうそう、リストに名のある「申公豹(しんこうひょう)」と出会う。圧倒的な力の前にあっさりと敗北した太公望は、封神の困難さをかみしめるのであった。

 続いて太公望の前に現れたのは、妲己の妹である「王貴人(おうきじん)」。太公望は姦計を用いて貴人を倒し、人質として妲己の元へと乗り込むも、妲己の智略にはまり民衆に多大な犠牲を出してしまう。太公望は自らの無力を痛感し、打倒・妲己の御旗のもとに仲間集めに奔走することとなった。封神計画の真の目的、妲己の野望の全容、そして己が何者かすら知らぬまま……。

 作者である藤崎竜氏は、この作品を“メタ封神演義”としている。事実、オリジナルの物語からはかけ離れた設定や描写も多く、オリジナルの愛好家にとっては抵抗が感じられるようだ。逆に言えばその分、オリジナルを知らなくとも楽しめることが強みでもある。

 かくいう私もオリジナルを知らない読者の一人であるが、それでも楽しめるばかりでなく、オリジナルに興味を抱かせる出来だと感じた。“藤崎版”と呼ばれているのは伊達ではない。なにより日本では西遊記や三国志や水滸伝ほどメジャーではなかった封神演義を、それらに近づけた功績は評価されるべきであろう。
(TechinsightJapan編集部 三浦ヨーコ)