
![]() |
|
|---|---|
![]() |
|
![]() |
|
アンケートに協力いただきありがとうございました!
ユニークな舞台作品を精力的に発信する劇団「五反田団」を主宰する前田司郎。近年小説家デビューするも数々の文学賞候補に挙がり、昨年は本職の戯曲で第52回岸田國士戯曲賞受賞。観客との間がわずか数メートルという小規模で一体感を重んじる前田の舞台は、最近までは劇場に足を運んだわずかな観客にしかその良さを体感する事ができなかった。その前田が、この春スタートする話題の深夜ドラマ『漂流ネットカフェ』(TBS系)の脚本を担当する。近年、小劇団フリークたちの話題を集める前田司郎の魅力を探る。
今から約12前、20才そこそこの演劇青年前田はドラえもんとのび太を二人の男に置き換え、ひとつの戯曲を書き上げた。未来から来たドラえもんは(のび太の暮らす時代において)他に友達がいなく特に趣味もない。いつも狭い部屋に小うるさいドラえもんと二人っきりで過ごすのび太はさぞかし窮屈だろう。
あの有名なマンガの世界をこう解釈した作品。それが今や人気劇団の「五反田団(ごたんだだん)」の旗揚げ公演『くりいり』だ。なぜ題名が“くりいり”なのかというと、20世紀で生活し実はあんまり幸せでないドラえもんが、食べようと思ったどら焼きを割ると、中から栗が出てきてチョット嬉しかった。というもの。(このお芝居は近年再演されてないので記者は未見。)
一見ばかばかしいお話なのだが、これを芝居にした19才は非凡だ。その後も精力的に発表される「五反田団(ごたんだだん)」の芝居全ての台本を考える前田の視点は常にユニークで少々脱力的。前田をよく知らない大人たちは彼の作品を「ニート系」などと言う。
小劇団の芝居というのは、たとえば劇団四季や宝塚のような華やかなショーではなく、だからと言って○○座や、××組といった歴史のある正統派な見せ物ともまた違う。いわばまったくもって金のニオイのしない小さな空間の中で、演じている役者とそれを見ているお客の一体感を大切にする。前田の芝居は特にそれを大事にしている。後に奇想天外な展開が待っていようと、「五反田団」の芝居を演じている役者たちはざわざわとした囁きは囁き、話し声は普通の会話と同じテンションで話す。要はオーバーでセリフ染みたしゃべりを嫌うのだ。登場人物たちも非現実なようで実は現実に近い。
そんな前田司郎が、2005年、「愛でもない青春でもない旅立たない」で小説家デビューし、昨年戯曲「生きてるものはいないのか」で第52回岸田國士戯曲賞受賞した。時代によって移ろいやすいとされる若者の心情が実はあまり昔と変わらないことを訴える前田の作品が大不況の近年、評価され始めている。
前田作品に興味はあるが、「芝居に足を運ぶのはチョット・・・」という人の為に、「漫画アクション」で連載中の押見修造の人気漫画を原作とした話題の深夜ドラマ『漂流ネットカフェ』(MBS 10日~、TBS系15日~)の脚本を前田が担当する。楳図かずおの「漂流教室」を彷彿とさせる、ちょっと不思議なネットカフェを舞台としたストーリー。主人公を演じるのは『フィッシュストーリー』で強い魅力を発した伊藤淳史。テレビや映画の露出の多い伊藤に“舞台人前田”のセリフをどこまで生かしきれるか、興味深いドラマである。
ドラマのスタート直前の4月7日(火)、「前田司郎さんとだらだら飲もう!」というイベントが噂のライブハウス『阿佐ヶ谷ロフト』で開かれる。前田司郎をもっと知りたいという人は、ぜひ。
(編集部:空野ひこうき)
【関連記事】
・曲に隠された秘密と不思議な“力”の物語。 映画『フィッシュストーリー』
・成海璃子コメディ初挑戦。『罪とか罰とか』監督 ケラリーノ・サンドロヴィッチとは?
・『罪とか罰とか』に見る、舞台人による映画の“限界”。
・衝撃的なポツドールの舞台『愛の渦』。
・【ドラマの女王】最終回にて山田センセイの術にハマッタ。『ありふれた奇跡』。