このほど地中海東部にある島国キプロスで、妻を殺害した夫が釈放された。彼は末期がんで苦しむ妻に、泣きながら命を断つように懇願されたことから殺害に及んだという。夫は釈放後に墓地へ向かい、亡き妻に逢いにいった。英ニュースメディア『The Mirror』などが伝えている。
キプロスの主要都市パフォスの地方裁判所で現地時間7月31日、当時74歳の妻ジャニスさん(Janice)を殺害した英ノーサンバーランド州アッシントン出身のデイヴィッド・ハンターさん(David Hunter、76)に懲役2年の判決が下った。
英ニュースメディア『The Mirror』によると、キプロスでは10か月間の服役が懲役1年に相当するため、逮捕から19か月間以上も刑務所に服役していたハンターさんは、判決が下ったその日に釈放されることとなった。
ハンターさんは2015年、妻ジャニスさんと共にイギリスからキプロスに移住し、海岸沿いにある家で仲睦まじく暮らしていた。しかし数年後、ジャニスさんが血液のがんである白血病であることが発覚した。ハンターさんはジャニスさんをできる限り見守ってきたが、52年間連れ添ってきた最愛の妻が苦しむ姿を見るのはとても辛いものがあったようだ。
そして2021年12月18日、悲しい事件が起こってしまった。当時の報道によると、この日のハンターさんはジャニスさんから「私の命を終わらせてほしい」と涙ながらに懇願されたという。ジャニスさんは、白血病が末期の状態で視力もほとんど失われ、食事を摂るのもままならない状態にまで症状が悪化していた。
最愛の妻が苦しむ姿に耐えられなくなったハンターさんは、ジャニスさんの望み通り、椅子に座っていた彼女の口と鼻を手で塞いで窒息死させた。ジャニスさんが息絶えた後、ハンターさんはイギリスにいる家族に別れのメッセージを送り、大量の錠剤を摂取して自らの命を絶とうとしたという。
ところが同日の午後8時頃、心配したイギリスの家族からの通報により国際刑事警察機構がキプロスの警察に連絡を入れ、警察官が現場に駆けつけることとなった。警察官はそこでジャニスさんの遺体と自殺を図ったハンターさんを発見し、彼は病院に搬送されて一命を取りとめた。
のちにハンターさんは搬送先の病院で逮捕され、回復後にニコシア刑務所に拘留された。殺人罪で起訴されたハンターさんは、