イランで生まれ、生後40日で顔に酸を浴びたメス犬“マグジー(Mugsy、5)”はその後、カナダの女性に引き取られ“最高の人生”を手に入れた。マグジーを愛情いっぱいで包む女性と、熱傷で顔が変形しながらもいきいきと生きる犬のストーリーを米ニュースメディア『Newsweek』などが伝えている。
カナダのバンクーバーに住むフェニックス・ノヴァリーさん(Phoenix Novalee)が投稿する、マグジーと友達犬のメス“マーシャ(Martha)”のTikTok「Martha & Mugsy」が人気だ。
マグジーはイランの首都テヘランで生まれ、生後40日の時、何者かに顔に酸をかけられて右目と鼻に重傷を負った。そして安楽死寸前だったところを、動物保護団体「ペルシャン・パウズ・レスキュー(Persian Paws Rescue)」によって救出され、右目の摘出手術を受けていた。
しかしテヘランでの治療には限りがあり、同団体がSNSで引き取り手を探していたところ、たまたまノヴァリーさんの当時のルームメイトがマグジーの投稿に目を留めた。こうして2018年12月12日、生後6か月だったマグジーは、ノヴァリーさんとバンクーバーで運命の出会いを果たしたのだった。
なお幼くして重度の熱傷を負ったマグジーの顔は当初、鼻腔がむき出しで変形し、感染症にかかりやすいうえ組織の損傷も酷かった。そのためノヴァリーさんらはクラウドファンディングサイト「GoFundMe」にページを立ち上げて寄付を募り、マグジーは2019年2月にカナダの動物病院で顔の形成手術を受けることができたという。
ノヴァリーさんは当時のことを次のように語っている。
「酸を浴びたマグジーは、顔のほとんどの皮膚、右目、右耳のほとんどを失ってしまいました。そこで外科医は、呼吸や食事が上手くできるよう、また普通の快適な生活を送れるように、熱傷で露わになった顔の組織の修復手術を行ったのです。手術は成功し、今では呼吸も食事も問題なくできるようになりました。」
しかしながらマグジーは、現在も顔が変形し、歯茎がむき出しで特別なケアが必要だ。そのためノヴァリーさんは、マグジーの顔をきれいに洗い、歯磨きをすることを日課にし、口の渇きがひどいため新鮮な水をたっぷり飲ませているという。また目の渇きを防ぐため、一日に2回、目薬をさし、歯茎を保護するためのクリームを塗っている。少しばかり過保護のようにも思えるが、マグジーが嫌がることはないそうで、