365羽目の投稿には日本語で「おめでとう!」というコメントや「私たちの世界のために一年も祈り続けてくれてありがとう」などお祝いや感謝のコメントが多数寄せられた。なかには日本の千羽鶴という慣習を知ってか「あと635ですね!」という英語のコメントも見られた。だが総領事という重責、しかも着任1年目の1日目から日常業務と並行しつつ毎日同じ行為を続けることは決して容易ではなかったはずだ。
―折り鶴制作とInstagramでの発信を日々続けていく中でご苦労はありましたか?
稲垣氏:「苦労」というほどではありませんが、仕事を遅くまでして頭の働きが鈍ってしまい、動画を撮影して発信する際に折り鶴のカウントを間違えて(277の次を288としてしまったり、343の次の日に345としてしまったり)後日訂正をしたり、Instagram上のエラーにより発信できなくなってしまい、翌日に前日と併せて発信したりするなどのトラブルが稀にありました。
トラブルがあってもその翌日には丁寧に訂正を行うことも忘れない。このような地道で真摯な活動が知られるところとなり、折り鶴の数とInstagramの投稿回数が増えるにつれ、ユーザーからのコメントも増えていき、記念すべき2021年8月21日の投稿は8500回以上の再生回数を記録し、138のコメントが寄せられている。
稲垣氏:SNS上で反応をいただける方の中には、メッセージを送付してくださる方もいらっしゃるのですが、(私が)反応したいと思っていても、仕事で忙しくしているうちにそれができず、また元々のメッセージが消えてしまって反応できないこともあり、申し訳なく思っています。ですが、いただいたメッセージには必ず全て目を通すようにしています。
―この取り組みを始めて良かったと思える体験はありましたか?
稲垣氏:パンデミックにより、オンラインでかつ限られた方々としかお話が出来ないような状況が続いていたのですが、それでも道行く人で直接お会いしたことがない方が私の顔を覚えてくれて、マスクをしていても向こうから声をかけ挨拶をしてくれることがあり、うれしく思います。
シンプルだが稲垣氏の思いが伝わるこの活動には、「祈り続けてくれてありがとう」「頑張って」といった感謝や応援のコメントが英語で寄せられている。世界の健康と平和を祈り続けるという純粋な姿勢に多くの人は感銘を受けており、常に変化していくインターネットの世界で、変わらない投稿を続けることも多くの人に安心感を与えているのかもしれない。最後に稲垣氏に今後の活動について聞いてみた。
―今後も折り鶴制作とInstagramでの発信を続けていくにあたり、何か目標を立てていますか?
稲垣氏:私がシアトル総領事を離任する時まで、毎日欠かさず折り鶴を折り続けたいと考えています。
ひとりの日本人が世界の人々の健康と平和を願って始めたこの取り組み。異国の地にありながらも、折り鶴に込めたその祈りと願いの意味は人々の心にしかと届いている。
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画像2、3枚目は『Hisao Inagaki 2021年6月7日付Instagram「Today is my 300th day in Seattle.」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)