漁をしていた船の周りにアシカの群れが押し寄せた。そばには数頭のシャチがアシカを狙っており、避難する場所を探していたアシカたちはこの船に目を付けたようだ。助かろうとして必死に船に乗り込もうとする数十頭のアシカに、40年以上のベテラン漁師も「船が沈むかと思った」と恐怖の瞬間を振り返っている。『ABC News』などが伝えた。
チリ南部の沖合で今月12日、アントニオ・サパタさん(Antonio Zapata)は船を出して漁をしていた。アントニオさんは40年以上のキャリアを持つベテラン漁師だが、「こんな状況は今まで見たことがない」と話すほど珍しい状況に遭遇した。
漁の最中にシャチが狩りをするところをよく見かけるそうだが、今回は数十頭のアシカがシャチに狙われた場面を目撃したという。そして食べられまいと必死に逃げながら安全な場所を探していたアシカたちの目に映ったのは、アントニオさんの乗る船だった。
アシカたちは一目散に船に近寄ると、頭を海面から出して必死のまなざしをカメラに送っている。当時の様子を捉えた映像には、アシカたちが一度に押し寄せたため船の周囲は大量の水しぶきが上がり、アシカが積み重なり混乱状態になっていた。
アントニオさんは「数メートル先には数頭のシャチが泳いでいて、アシカたちにとっては可哀そうな状況でした。でも私たちの船には捕獲した大量のイワシが積まれていて、これ以上乗せてしまうと船が沈みかねませんでした」と明かしており、