繁殖力が強く「家に1匹いたら100匹いる」などと言われるゴキブリ。常に“嫌いな虫ランキング”の上位を占める厄介者だが、タイの動物病院には先月下旬、怪我をしたゴキブリが持ち込まれたという。『The Dodo』『Odditycentral』などが伝えている。
タイ中部クラトゥムベーンでサムット・サーコーン動物病院(Samut Sakhon Animal Hospital)を経営している獣医タヌーンさん(Thanoon)のもとにある晩、珍しい急患が運ばれてきた。
それは人から忌み嫌われることが多いゴキブリで、手で包むようにして持ってきた男性はタヌーンさんにこう言ったという。
「このゴキブリは人に踏まれてしまってね。道路脇で怪我をして動けなくなっていたんだ。どうか診てやってくれないか。」
「それまでゴキブリの診察はしたことがなかった」というタヌーンさんは内心驚きつつも、男性の温かい心に感心し無料で治療を請け負った。
そしてこの時の様子をFacebookに投稿したところ、大きな反響があった。
タヌーンさんはその中で、ゴキブリが持ち込まれた過程について説明するとこのように綴った。
「昨夜、急患があった。生き残るチャンスは五分五分。これは冗談なんかじゃないよ。」
「ゴキブリを連れてきた男性は、『どんな生き物に対しても、思いやりや哀れみの気持ちを持つことがいかに大切かということ』そして『命の貴重さ』を教えたんだ。こんな男性が世界中にもっとたくさんいたらいいのに。優しさが世界を支えるんだよ!」
タヌーンさんは持ち込まれたゴキブリを酸素治療室に入れて回復を待ったそうで、