インド中央部マハーラーシュトラ州に位置する「タドバ・アンダリタイガー保護区」は、同州の中でも最も古く広大なベンガルトラの保護区の一つとして知られている。その保護区でツアーガイドとして働く野生動物写真家がベンガルトラとナマケグマの壮絶な闘いを捉え、『Nature inFocus』『Mirror』などに取り上げられて話題となっている。
野生動物写真家でツアーガイドとしても活躍するアーピット・パレクさん(Arpit Parekh)は2018年2月、サファリツアーに訪れた観光客を連れてタドバ・アンダリタイガー保護区にやってきた。アーピットさんはその日の朝にベンガルトラに遭遇しており、「もしかしたら」と同じ場所に戻るとオスのベンガルトラが午後の昼寝を楽しんでいるのを発見した。
アーピットさんは「サファリトラックの中からベンガルトラの写真を撮って、まさにその場を去ろうとした時だった。ベンガルトラが何かに気付いて起き上がったんだ」と当時を振り返り、その様子を次のように語った。
「竹林で最初はよく見えなかったんだけど、すぐそばに2頭のナマケグマがいるのが分かったんだ。大きな身体のナマケグマは母グマで、すぐにベンガルトラと闘い始めたよ。たぶん後ろにいた小さめの子グマを逃がそうとしたんだろうね。」
「ただナマケグマはベンガルトラに首元を噛まれ、上から押さえつけられたんだ。とにかく圧倒的にベンガルトラが優勢だった。でも『もうあの母グマはダメなんじゃないか』と思ったその時、母グマを押さえつけるのに疲れたベンガルトラが、一瞬だけ身体を離したんだ。」