アルコール濃度を80%前後に薄めた“消毒用エタノール”は新型コロナウイルスの感染予防に効果があるとして知られているが、イランでは「アルコールが新型コロナウイルスに効く」とのデマがSNSで広がり、日本で危険物第4類アルコール類に指定されている“メタノール”を含んだ密造酒を飲んだ約300人が死亡した。『The Sun』『news.com.au』などが伝えている。
新型コロナウイルスの感染拡大が続くイランでは今年2月、SNSで「感染予防にはアルコールが有効」というデマが拡散し、これまでに安い密造酒を飲んだ1000人以上がメタノールの中毒症状を訴え、約300人が死亡した。
イスラム教を国教とするイランでは飲酒が禁止されているため、人々は安い密造酒か密輸によって酒を買うしかない。しかし安い密造酒には“メタノール”が含まれており、多量に摂取すると吐き気や眩暈、意識障害のほか、失明や命の危険に晒される。
ノルウェーの首都オスロで臨床中毒学を研究し、メタノールの毒性について詳しいクヌート・エリック・ホヴダ博士(Knut Erik Hovda)は「イラン国内では急速に感染拡大が進み、多くの人が亡くなっています。ただ人々はメタノールを含む密造酒の危険性についてはほとんど認識していないのが現状です。このまま密造酒を飲み続ければ、メタノール中毒に陥る人はさらに増えるでしょう」と述べている。
イラン政府は毒性の強いメタノールに人工着色料を付加することを義務付けているが、