同病院に‟大きな借り”があった。

ヒラリーさんの長女ベアトリスちゃんは稀な肝疾患を持って生まれ、肝移植待機リストに名を連ねるほど重症だった。幸いなことに母親の肝臓が適合することがわかり、ベアトリスちゃんは生後6か月の時に同病院で生体肝移植手術を受けたのだった。母子がベッドを並べて行われた手術は12時間にも及んだが、ヒラリーさんの肝臓の一部をもらったベアトリスちゃんの経過は良好だった。

ヒラリーさんは「病院での経験はそれはクレイジーで、一生忘れることはないほど衝撃的で、それでいて素晴らしいものだったの。病院には感謝してもしきれないくらいの恩があるの」と語ると、こう続けた。

「シンシナティ小児病院にはリサーチセンターがあるの。その研究室では臓器移植待ちの約10万人の希望となる‟人間の臓器を作る研究”が行われているのよ。それでアマンダと話し合って、その研究分野における科学の更なる発展のためにレモネードの売り上げを病院に寄付することに決めたの。臓器移植を待ちながら、適合者が現れずに亡くなる人もいるわ。ベアトリスは本当に幸運だったけど、みんながみんなそうとは限らないから。」

こうしてヒラリーさんとアマンダさんは、148ドルと書かれた大きな小切手のポスターを作って子供たちと一緒に病院を訪れ、そのもようを先月末にInstagramに投稿、「病院への寄付に賛同して下さる方は、送金アプリ‟ベンモ（Venmo）”でこちらのアカウントまで送って下さい」と言葉を添えた。すると、148ドルの売り上げから始まった小さな親切が、子供たちの想像を超えて大きく羽ばたき始めた。

同病院には世界中から寄付が舞い込み、投稿から数日後の10月3日の時点で155,000ドル（約1,655万円）を超えたのだ。ヒラリーさんによると、寄付は現在も止まることがなく続いており、近々シンシナティを訪れる予定の米人気司会者アンディ・コーエンとCNNキャスターのアンダーソン・クーパーからも共同で5,000ドル（約53万円）の寄付があったという。

レモネードスタンドが巻き起こした奇跡を、ヒラリーさんはこのように述べている。

「銃撃や死、交通事故とか世の中はネガティブなニュースで溢れているでしょう。でもこの世の中にはいい人もたくさんいるってことを世界中に伝えることができたと思う。子供たちにとっても、自分が受け取った親切を他の誰かに返していくことを学ぶ、素晴らしい機会になったわ。自分たちが起こした小さな行いによって、本当に必要な人のためにお金を集めることができるということを、子供たちは身をもって学んだのだから。」

「子供たちとはこれからも毎年レモネードスタンドを続ける予定よ。たとえ売り上げが50ドルでも、子供たちの経験は心の中で息づき、彼らが成長して振り返った時に大きな力になると信じているわ。」

画像は『Hillary Kelly Weidner　2019年9月2日付Instagram「first annual lemonade stand turned a ＄148 profit to be donated to ＠cincychildrens」、2019年9月30日付Instagram「THEY’VE GONE VIRAL! what started out as a ＄148 donation from their lemonade stand has turned into over ＄50,000 in matching donations to ＠cincychildrens. and the number is GROWING!」』のスクリーンショット
（TechinsightJapan編集部　A.C.）