米アイダホ州、モンタナ州、ワイオミング州にまたがるイエローストーン国立公園はアメリカ初の国立公園であり、世界遺産にも登録されている。手つかずの自然や野生動物を一目見ようと毎年多くの観光客が訪れるが、その公園周辺は絶好の狩猟地となっており、ハンターたちが使用する鉛弾によって希少なワシが危機的状況にあることが明らかになった。
2018年12月6日、イエローストーン公園北部ファントム湖の近くでイヌワシ(Golden Eagle)が死んでいるのが発見された。このイヌワシは同公園内で初めて小型の無線送信機を装着した5歳のメスで、渡りの実態や生殖、生態、行動などついて調査が行われていた。
調査はイエローストーン国立公園だけでなくモンタナ大学、同公園の保護・教育に携わるNPO法人「イエローストーン・フォーエバー(Yellowstone Forever)」、アメリカ地質調査所が中心となって実施されていたが、このほどイヌワシが「鉛中毒」により死亡したことが公表された。
集められたデータによると、イヌワシは2018年秋の狩猟シーズンに公園北側の広い範囲を移動していたことが分かっている。この時期は公園の近くで狩猟が盛んに行われていたため、イヌワシはハンターによって放置されたシカの肉片と一緒に鉛弾の破片をついばみ、高濃度の鉛中毒に陥ったようだ。調査チームは、タカやフクロウなどの猛禽類はシカの臓器などを好んで食べることから、被害はイヌワシだけに留まらないとみている。
オレゴン州で30年以上にわたり鉛中毒から鳥類を救う活動をしている「ブルー・マウンテン・ワイルドライフ・リハビリテーション&教育センター」の理事であるライアン・トンプキンスさんは、