いくら患者本人の望みであっても、愛する人の最期を迎える家族にとって臓器提供の決意をすることはおそらく容易ではないだろう。しかし1人の患者からなされる臓器提供で、多くの人の命が救われる。死を迎えるにあたり、ドナーとなる患者は見知らぬ誰かに“命”という最高のギフトを贈ることができるのだ。このほど米アイダホ州の病院で、ドナー患者となったひとりの男性を病院スタッフらが総出で見送るための“敬意の歩み”が行われた。『Storytrender』『6abc Action News』などが伝えている。
アイダホ州メリディアンにある病院「St. Luke’s Meridian Hospital(セント・ルークス メリディアン病院)」で9月27日、“Walk of Respect(敬意の歩み)”と呼ばれる特別な儀式が行われた。
この病院では、あらゆる臓器提供患者への敬いの気持ちを表すために医療スタッフらが患者の家族や友人らと一緒に廊下に並び、静かに手術室へと運ばれるドナーを見送ることにしている。この日も53歳の男性患者(家族の意思により名は公表されず)がICU(緊急治療室)から臓器摘出手術が行われる手術室へ向かう途中の4階廊下に現れると、人々らは静かにその様子を見守った。
生命維持装置を装着された男性のベッドが医療スタッフにゆっくりと押されて行く。男性は家族に最期の瞬間まで支えられながら、手術室へと向かうエレベーターに乗り込んだ。その後、手術室で生命維持装置が外された男性は、