重度の薬物中毒者が妊娠するとなれば、当然胎児に悪影響を及ぼす。しかし、自らをそのような状況に置きながらも出産する女性は存在する。このほど米ニューメキシコ州のある警察官が薬物中毒者から産まれた子を養子にしたというニュースが『CNN』『ABC7 KABC』『The Independent』など複数メディアで伝えられた。
ニューメキシコ州アルバカーキで、アルバカーキ警察に勤務するライアン・ホーレッツ警官は9月23日、「コンビニの近くで窃盗があったようだ」との通報を受け現場に向かった。この通報が後にホーレッツ警官の人生を大きく変えることとなった。
ボディカメラを身につけてコンビニの裏手にある空き地にやってきたホーレッツ警官は、2人の男女が座っているのを発見した。女は連れの男の腕に注射器を突き立てており、ホーレッツ警官は2人が薬物常用者であることを察すると同時に、女が臨月のお腹を抱えていることに気付いた。ホーレッツ警官のボディカメラには「なんてことだ。そんなことをしたらお腹の赤ちゃんが死んでしまう」と女に話しかけている様子が収められている。
クリスタル・チャンプ(35歳)と名乗った女は、ホーレッツ警官の言葉が心に沁みたのか号泣した。生まれて間もなく養子に出されたクリスタルは、10代の頃には薬物に手を出すようになり、2年以上ホームレス生活をして現在も空き地にテントを張って暮らしている。「クリスタル・メス」とも呼ばれるメタンフェタミンや覚せい剤に溺れながらも、クリスタルは過去に何度かそんな薬漬けの生活から抜け出そうと試みたことがあったようだ。しかしいずれも失敗に終わり、今では「自分の人生なんてこんなもの」と諦め、毎日50ドル(約5,700円)分を薬物に使ってしまう生活を送っていた。
ホーレッツ警官は、「お腹の子供を中絶する気は全くなかった。でも子供を引き取って育ててくれる人をなんとかして見つけたい」と泣きながら訴えるクリスタルの姿を見て、