このほど豪クイーンズランド州の救急サービス「Queensland Ambulance Service(QAS)」がFacebookに投稿した1枚の写真が大きな反響を呼んだ。末期の病を患う高齢の女性患者を病院へ搬送する途中、救急隊員が女性の最期の願いを聞きビーチへと立ち寄ったのである。海を眺める救急隊員と女性の後ろ姿の写真は、多くの者の涙を誘った。米メディア『PEOPLE.com』『ABC News』などが伝えている。
11月22日、クイーンズランド州ハービー・ベイ地区担当の救急隊員グレイム・クーパーさんは、同僚のダニエル・ケランさんと救急車で末期の病を抱えた高齢者女性を地元病院の緩和ケア病棟へと搬送中だった。しかしその女性が「もう一度海を見たかった」と口にしたことから、グレイムさんは上司に許可を得て彼女の最期の願いを叶えるべくハービー・ベイへと救急車を迂回させた。
グレイムさんはバーラム国立公園や埠頭、フレーザー島が一望できる小高い丘に女性を医療担架に乗せたまま連れて行き、女性に寄り添い海を眺めた。出来ることなら女性を岸まで連れていきたかったグレイムさんだが、そこは岩が多く担架では移動できない。そこでせめて海の水でもと思い女性のもとに運んで持っていくと、彼女はそれを口に含みとても喜んでいたという。
グレイムさんと女性の姿を後ろから撮影したダニエルさんが、救急車に戻ってきた女性に海を見てどう思ったか尋ねると、彼女は「とても穏やかな気持ちになった。もうこれで思い残すことはないわ」と満足そうに話したそうだ。