このほどイギリスの市バス内でひと悶着があった。車椅子やベビーカー専用スペースに、バギーに乗せられた猫がスペースを占領していたことから子連れの母親が激怒し、SNSに投稿した。しかしある事実が発覚し、物議を醸している。『Metro』『The Sun』などが伝えた。
10月6日、英ウェスト・ヨークシャー州リーズ行きの市バスに乗っていたミア=ジェイド・ウィルソンさん(23歳、一部報道では26歳とも)は、ある光景を目にした。
バス停で子供をベビーカーに乗せた母親が乗車しようとしたところ、運転手は「スペースが埋まっているのでベビーカーを折りたたむか、別のバスを待ってくれ」と伝えた。その会話が聞こえたミアさんは自分の耳を疑った。
車椅子やベビーカー用のスペースには猫が入ったバギーが置かれ、その横にはミアさんの1歳の息子が乗ったベビーカーがあった。ミアさんはその時の思いをこのように述べている。
「最初、運転手は母親の乗車を拒否したんです。ベビーカーに乗った子供よりもバギーに入った猫が優先されるなんてバカバカしいと思いました。運転手に言われた母親はベビーカーの下にたくさん荷物を入れていたので、折りたたむのは容易ではなかったはずです。私は猫の飼い主の女性に、バギーを動かしてその母親のためにスペースを作ってあげたらどうかと伝え、そして運転手にもバギーに乗っているのは猫であることも言いました。でも運転手は取り合ってくれませんでした。どう見てもこの状況はおかしいと思います。猫を移動させるには他の交通手段だってあるでしょう!? 多くの人がそうしているように手持ちサイズの籠に猫を入れれば、自分の膝の上に乗せたり座席の下に置くことだってできますから。結局、母親はベビーカーを狭い場所に置かなければならず、子供は窮屈で泣いていたんですよ。」
ミアさんはこの光景を目撃した間、ちょうどおばと電話で話していたところだった。おばが「写真を撮ってSNSに投稿すればいい」とアドバイスし、ミアさんは言われた通りにした。するとこのニュースはたちまち拡散し、メディアに取り上げられたが、ひとりの女性がミアさんに真っ向から反論したのである。
10月13日付の『Metro』では、この猫の飼い主の親友であるリンゼイ・エリオットさんが、当日は飼い主(プライバシー保護のため名前は公表されていない)と猫のスクービーは獣医院からの帰りだったことを明かした。
「スクービーは13歳で肝臓に疾患があることがわかったんです。獣医院は親友の家から歩いて20分ほどかかるので、6kgもある大きい猫を運ぶにはバギーが一番適していました。しかも親友は複数の精神疾患を抱えています。彼女にとって公共の場に出るということはとても大変なんです。でも猫を病院に連れて行かなければならなかったから、あの日はバスに乗っていただけです。親友はミアさんが運転手に文句を言った時、私に電話してきました。だから状況の一部始終を知っています。親友は運転手に猫のバギーを移動させるとも申し出ました。でも運転手は『あなたが先に乗っているのだからそのままで構わない』と彼女に伝えたんです。それなのにミアさんは、親友に『あなたはこんな状態で猫をバスに乗せるべきじゃない』と非難したのです。」