結婚式を挙げるとなれば、ドレスや招待客への準備、会場の予約など早々から打ち合わせをして念入りに計画するのが普通であろう。米ミネソタ州のカップルも例外ではなく、来年に向けて挙式の予定を立てていた。しかし病気の母親のため予定を急きょ変更、このほど1年早めた結婚式が行われた。花嫁の切ない思いが溢れる感動のニュースを『Inside Edition』『Kare 11』など複数のメディアが伝えた。
ミネソタ州プリマスに住むステファニー・ゲフローさんとブライアン・フィッシュさんは、イタリアのフィレンツェで婚約し2018年の5月にデトロイト・レイクスで結婚式を行う計画を立てていた。
しかしステファニーさんの妹アンバーさんが、早期発症型アルツハイマーを患っている母親スーザンさん(48歳)のことを心配し「そんな遠くまで行かせるのは無理だと思う。式を母の住むノースダコタ州デビルズレイクでしてもらえないか。それならば母も出席できるだろう」と相談してきた。
ステファニーさんとブライアンさんが計画していた挙式の場所までは、スーザンさんの自宅から車で3時間以上もかかる。普段、街へ出るなどのちょっとした外出にも困難を伴うスーザンさんにとって長旅は辛いものになるだろうという妹の提案を、当初ステファニーさんは渋ったという。
婚約者と入念に準備してきた式場を変更し、故郷で式を挙げるなどとは想定もしていなかったことであり、急に変更しても招待客は参加できないのではないかという不安があった。しかしスーザンさんの病は悪化しており、ステファニーさんは結局、ブライアンさんの理解を得て挙式を1年早めることに決めた。
25日以内で慌ただしく準備をし、スーザンさんの自宅の裏庭で5月27日に2人は結婚式を挙げた。ステファニーさんは、今回の決心に至った気持ちをこのように述べている。
「母が言葉に詰まるようになって、病がわかったのです。それからどんどん容態が悪化して、もう5年ほど母とは会話らしい会話をしていません。この2年間、母は私のことも誰だかわからなくなっています。最初はその事実にショックを受けました。母の状態を考えると、私たちの結婚式に参加できるとは思ってもいませんでした。でも妹の提案は正しかったと思っています。母はどんな状態であっても、私の母です。愛する母には、たとえ状況が理解できなくてもただそこにいてほしいと思いました。」
挙式当日、家にこもりがちなスーザンさんを、ブライアンさんとスーザンさんの介護人が自宅からゆっくりと庭へ連れ出した。母は結婚式の状況もわからないゆえ、突然笑いだしたりするかも知れないという不安がステファニーさんにはあったようだが、誓いの言葉を交わしている間、スーザンさんはただ静かに座っていたそうだ。