writer : tinsight-higuchi

【ファッションを味方につける】GUが本気でファッションを始めた!

今の時期、夏物セールも終盤に入り、どのお店も秋冬新作が店頭に並んでいます。真夏に秋冬物は見ているだけで暑苦しいものですが、新しいシーズンのトレンドを知るうえで立ち上がりはとても重要です。見るだけでも今後のお買物に役立ちますし、トレンドを読み解く目も養えるので新作チェックはお勧めです。そんな視点で秋冬物をチェックしていたところ、あのGUが驚きの新作を打ち出していました。GUが「本気でファッションに取り組み始めた証」と言っても過言ではないでしょう。

【大衆の支持を得た結果、“ファッション”を失ったGU】
GUのブランド立ち上げ当初、GUとユニクロのコンセプトはきっちり棲み分けされていました。ユニクロは『流行に左右されないベーシックなデザイン、ターゲットは老若男女、高品質で高機能な商品をユニクロ価格で提供する。』。一方のGUは『ユニクロより安い価格、ユニクロのベーシックに対しトレンドやファッション性を追求、ターゲットは10代~30代、とにかく安さにこだわってトレンドアイテムをGU価格で展開する』といったように商品のテイスト、ターゲットや価格の設定などこのふたつのブランドには分かりやすい違いがありました。

しかしその後、ユニクロは海外の有名デザイナーとコラボしファッション性を打ち出すようになり、GUもユニクロの商品と似たようなデザインのトップスやボトムを展開したりと両者の違いがどんどん曖昧になりました。結果「GUの方がユニクロより少し安くてちょっと若向き」という以外、両ブランドの間に大きな違いを感じることがなくなりました。

昨今のガウチョやスカンツの大流行もGUが打ち出し、その後ユニクロも展開しましたが、GUの価格が安かったことで10代からシニア層まで販路が広がり爆発的な流行となりました。街行く人にかなりの確率でガウチョやスカンツを見かけるといった現象を生み出したのですから、GUの人気と影響力は凄いものです。サイズが豊富、身体を締め付けない着やすさ、そしてコスパも良い、GUにはまさに日常着として私達が望む要素が全て込められていたのです。しかし、それはあくまでも日常着としての話。GUは“ハレの日”に着る服ではなかったのです。

2016年10月決算会見でGU社長の柚木治(ゆのき おさむ)氏が「ファッションは大衆化するとファッションじゃなくなると言われる。そんな常識を超えたい」と語っていましたが、まさにガウチョやスカンツの大流行などGUが多くの人に支持されたことにより、逆にGUのファッション性が大きく削がれてしまうという皮肉な結果となったのです。

【GUが変わった!】
そんなGUの秋冬新作がなぜ衝撃だったのか、それにはまずこのフレーズを見て頂きたいと思います。

■『THE GENTLE WOMAN この秋、カッコイイ女が主役になる。』
■『クールだけど佇まいはしなやかで、内に秘めた芯の強さがある。2017年秋冬シーズン、なりたいのはそんな人』
■『フェミニン×マスキュリンを絶妙にミックスすれば、トレンド最先線に立つ、最新のジェントルウーマンになれるはず』

GUが打ち出した『THE GENTLE WOMAN』

これはGUの商品広告にあった言葉ですが、まずコンセプトが明確で秋冬のハイファッションのエッジの効いた部分を押さえていることに驚きました。「ファッションを売ること」イコール「単に服を売ること」ではありません。そのデザインのコンセプトや背景、デザイナーの思いなどが付加価値となってファッションが生まれます。今までのGUはそれぞれアイテム毎のテイストやコーディネートの説明はありましたが、スタイルとしての付加価値やデザインの背景などは見られませんでした。ただ流行りのアイテムをお安く提供する、それに尽きていたように思います。しかし今季は明確に商品コンセプトが打ち出され、さらにダブルのジャケット、ワイドパンツ、グレンチェックの柄といった、旬なトレンドと大人びたモード感のあるテイストも登場しました。

旬なトレンドと大人びたモード感のあるテイスト

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