7月13日にロンドン北東部にて5件連続の酸攻撃事件が発生したが、イングランドでは2012年から同様の事件が劇的に増加している。今年3月にも恋人から酸攻撃を受けた男性のニュースが報じられていたが、ほぼ全身火傷で失明した彼が苦難を乗り越えて新たな女性に巡り逢えたという。英メディア『Mirror』や『Metro』が伝えている。
昨年7月26日、英レスターシャー州レスターに暮らすダニエル・ロタリウさん(31歳)は当時交際していたケイティー・リオン(52歳)に就寝中、硫酸を浴びせられ心身ともに一生消えない傷が残った。
リオンによって体も心も耐え難い痛みを背負わされたダニエルさんは事件後、襲われた時間になると悪夢にうなされて目を覚まし、思うように動けないことなどからうつ病を患い、自殺衝動に駆られることも少なくなかったという。そんなダニエルさんを支えたのがサポートセンターで働いていたアナさんの存在だった。
5歳の息子がいるアナさんは、ダニエルさんの外見にこだわらず彼の心に惹かれた。そんな彼女にダニエルさんもまた人生を救われたようだ。やがて2人は交際するようになり、アナさんは職場を辞めダニエルさんと共に暮らしフルタイムで介護するようになった。ダニエルさんは、現在の心境をこのように語っている。
「酸によって私は取り返しのつかない傷を負いました。人生が変わったのです。酸攻撃を受けて病院に搬送された時、父が駆け付けてくれましたが、あまりにも変わり果てた私の姿に号泣していたそうです。実家の母にはまだ会っていません。変わってしまったこの姿を見て、母が心臓発作を起こしてしまうのはないかと不安ですから。」
ダニエルさんを襲ったリオンは、17年の服役で仮釈放の資格が認められる終身刑が言い渡され、19,000ポンド(約280万円)の賠償金支払い命令が下されている。この刑期にダニエルさんは納得していない。
「後悔の念もないあの女が、17年後に仮釈放を認められて出所する可能性があるなんて、想像したくもありません。私はたとえ100年経っても二度と自分の姿を取り戻すことなどできないのです。今、私は天使と一緒にいますが、以前は悪魔と暮らしていました。36歳と偽っていたことも後で知り、あの女のことを何も知らなかったのだと気付かされました。いつか刑務所を訪れて私を襲った理由を聞いてみたい気持ちもありますが、きっと嘘で固めた言い訳を聞かされるだけでしょう。」