「こんな写真は世界にたった1枚しかない」と大きく称えられるような写真を撮りたい。写真家というのは常にそう思ってシャッターを切っているのであろう。マレーシアを拠点に活動しているキオウ・ウィー・ルーングさんもそんな一人であったが、彼はこのほど自身の新婚旅行で驚きの1枚を撮影することに成功した。もちろんそれには新妻の「勇気」に満ちた大きな協力が必要であったようだ。
世界を旅する中で時には非常に危険なポイントに足を踏み入れ、そこから望む絶景を撮影して回る。これこそ自分の天職、生き甲斐としていたキオウさん。このほど彼はやはり冒険好きで活動的な女性だというマルタ・シビエラクさんを妻に迎え、新たな人生をスタートさせたばかりである。
「新婚旅行では一生忘れられない素晴らしい思い出を作りたい」といって3か月の世界旅行に繰り出した2人の鞄には、なぜかウェディングドレスとスーツが詰められた。理由は有名な場所で挙式の時と同じようにキスを交わしながら永遠の愛を誓いたいというもので、彼はロンドンではビッグベンを背景にしたウェストミンスター橋の上で、イタリアではゴンドラを眺めるヴェネツィアの小橋の上で、そして日本では雄大な富士山をバックにウェディングドレス姿の新妻とキスを交わし、すべてをセットしておいたカメラで撮影した。
圧巻はなんといってもノルウェーの「シェラーグボルテン」。ローガラン県にあるイェラグ山の岩壁の割れ目に3×2メートルほどの大きな玉石がくさび状に挟まっており、その高さはなんと984メートル。専用の登山グッズがなくてもそこにたどり着けるため、命知らずの冒険好きが世界から訪れるスポットである。そんな恐ろしい場所ですら2人はウェディングドレスとスーツ姿となり、幸せそうにキスを交わすのであった。