医師に「もうなす術はない」と言われ、間近に迫った娘の死を受け入れざるを得なかった両親。しかし娘がある一言を発した後、驚くべき奇跡が起こった。10歳の少女の6年にわたる闘病生活を『People』などが伝えている。
米バージニア州バージニアビーチに両親や2人の姉妹と暮らしていたアビー・ファーコちゃんが「フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病」と診断されたのは2011年、4歳の時だった。医師に「生存率は20%」と告げられたアビーちゃんと家族はこれまで6年間、家と病院を行き来する生活が続いた。母のパティーさんは当時の心境をこのように明かす。
「娘の病状を知り、私たちは悲しみのどん底に突き落とされました。わずかな希望しかなく、娘は死を宣告されたのです。治療中も、複数の感染症にかかり、いつ娘を失ってしまうのかわからないと思いました。私たちにできたことは、娘が病気と闘う姿を見守ることだけでした。」
2011年の告知以来、骨髄移植、化学療法、放射線治療、治験薬などあらゆる治療を受けて来たアビーちゃんは、2013年10月に治療を終え、1年間学校へ戻ることができるまでに回復した。
ところが2014年9月、がんが再発した。アビーちゃんは痛みで身体の自由がきかなくなり、話すこともままならなくなった。家族は米国海軍である父親ジョーさんの勤務地に近いバージニアビーチに暮らしていたが、病院があるシカゴへと引っ越した。
2015年2月にアビーちゃんは骨髄移植を受けたが、経過が悪く「移植片対宿主病」という合併症を患った。さらに2016年5月には腎臓の機能が低下し、医師は家族に「透析をしなければ、アビーちゃんの命はもって48時間です。逝かせてあげた方がいいのでは」と伝えた。
幼い娘が病に苦しむ姿を見るのは、両親にとって何よりの苦痛だったに違いない。まして医師からも「救いようがない」と言われ、アビーちゃんの両親は娘の死を受け入れる準備を余儀なくされた。
2016年6月、一家はシカゴから再びバージニアに戻り、アビーちゃんは友人や家族に見守られながら最期を過ごすためにホスピス生活に入った。アビーちゃんの祖父母も最後の別れを言いにやって来た。葬儀の手配が進められ、誰もが悲しみに打ちひしがれていた時、一日に1時間ほどしか目を開けていなかったアビーちゃんが突然目を覚まし、こうつぶやいたのだ。
「まだ、やりたいことがいっぱいあるの。」