生後7か月の我が子にグルテンフリーの食生活を強要していた両親。しかも乳児の成長過程に必要不可欠な栄養を摂取させず、2014年6月にその乳児は死亡した。このたび第1回目の公判が行われたことを英紙『Metro』や『Independent』が伝えている。
ベルギーのベーフェレンで自然食品店を経営している父ピーターと母サンドリーナの間に生まれたルーカス君は、2014年6月6日にわずか7か月の生涯を閉じた。死因は激しい脱水症状と栄養失調による餓死であった。ルーカス君が亡くなった時の体重はわずか4.3kgで、同じ月齢の子の平均体重の半分以下だったという。
5月15日に行われた公判で、検察官は「ルーカス君の胃の中は完全に空っぽで脱水症状を起こしていた」と検死解剖の結果を述べ、ルーカス君の死因は両親にあると糾弾した。
ルーカス君は死の数日前に呼吸が苦しそうな状態であったものの、両親は医師の診断を仰ぐことを怠った。また、ルーカス君をグルテン不耐症で乳糖アレルギーがあると勝手に思い込んだ両親は、自身が行っていたグルテンフリーの食生活を強要したうえで乳児にとって不適切な食事を与えていたのだ。
ルーカス君が普通の粉ミルクを飲ませた時に痙攣を起こしたことから、両親はグルテンフリーのオートミルクやライスミルク、キヌアミルク、セモリナミルクなど自分たちの店で販売している商品を飲ませていた。法廷で弁護人は「両親は、ルーカス君が何らかの摂食障害を持っていると思い込んでいた」と明かしている。
しかも両親は近くの病院へ連れて行かず、遠く離れたホメオパシー療法をする医師のところでルーカス君を診てもらっていたという。ルーカス君が死亡した時は、おむつの中に祈りのメッセージが書かれたカードが入れられていたそうだ。ルーカス君の健康状態に関しての記録はどの医師も保管しておらず、児童保護サービスもこの両親のことを知らなかったもようだ。
裁判で父親のピーターは「息子の異変に気付かなかった」と話し、母のサンドリーナは「息子の体重は増えることもあれば減ることもあった。決して息子の死を望んでいたわけではない」と涙ながらに供述した。