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writer : ac

【海外発!Breaking News】「おじいちゃんは生きている」 亡骸と12年暮らす家族(インドネシア)

インドネシア・スラウェシ島の山岳地帯トラジャで、12年前に亡くなった男性が部屋の一室に置かれた棺の中で眠っている。この地方では葬儀が行われるまでは死んだとみなされず、遺体はホルマリンで処置が施され、家族が甲斐甲斐しく世話をするのだ。

「さあ、お父さん。お客様ですよ。ゆっくりお休みのところごめんなさいね。怒らないで下さいね。」

故パウロ・シリンダさんの娘のリサさんは、『BBC』の取材でスラウェシ島を訪れた記者を部屋に招き入れると父に優しく語りかけた。子供たちがパウロさんの周りではしゃぎまわると「静かにしてね。おじいちゃんが起きちゃうわよ」と声をかけ、「おじいちゃんは病気で寝ているのよ。うるさくすると怒り出すわよ」とたしなめる。

トラジャでは葬儀が行われるまで、死者は人々の会話を聞くことができるとされ、手厚くケアしないとその魂が怒りだすと信じられている。リサさんは父のために食事とタバコを一日2回用意し、こまめに身体を洗い、洋服を取り換える。この部屋の片隅には父専用のトイレ用の桶まで用意され、夜間でも照明が消えることはない。

「死後すぐに葬儀をしてしまっては、父を葬る心の準備ができません。ここに父がいることで、心が通じ合っていることを実感できるのです。時間が父を失ったことの悲しみを癒してくれるのです。」

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