
英コーンウォールのペンリンに暮らすメリッサ・ミードさん(29)と夫ポールさん(32)は、2014年9月に最愛の息子ウィリアム君を敗血症で亡くした。
当時、ウィリアム君の容態について、メリッサさんは何度かGP(一般開業医)のもとへ連れて行き診察を受けさせていた。しかし、ウィリアム君が胸の痛みを訴えていたものの抗生物質などは処方されず、かかりつけの医師は肺炎の兆候を見逃していたのだ。
その後、メリッサさんは国営医療機関の111というヘルプラインへ電話をかけた。このヘルプラインは救急車を呼ぶほどの緊急事態ではない時にかけるものだが、オペレーターはマニュアル通りに指示を出していくのみで専門知識のないスタッフが待機している。ただ、必要であれば6時間~8時間以内に当直医師からの電話を折り返すというシステムを取っている。
メリッサさんは、とにかくウィリアム君に緊急性がないことを確認したかったために111へダイヤルした。オペレーターは緊急治療の必要がないことを伝えたが、念のために6時間後に医師がメリッサさんに折り返しの電話をした。
その時、すでにウィリアム君の容態は緊急処置が必要なレベルにまで悪化していた。しかし電話口の医師はウィリアム君を病院へ連れて行く指示は出さず、ベッドで寝かせて置くことが一番の治療法だと説明したのだ。
ウィリアム君は肺炎と肺感染症になっていたが、ヘルプラインのオペレーターや電話を折り返した当直の医師もその兆候を見逃していた。その結果、ウィリアム君は血液への細菌感染を引き起こし臓器不全に陥り、敗血症で亡くなってしまったのである。1歳の誕生日を迎えたわずか17日後のことだった。
ヘルプラインへ電話したものの、12時間以内に命を落としてしまったウィリアム君。メリッサさんとポールさんは「ヘルプラインのミス」と怒りを示し、敗血症による死が珍しくはないものであること、国営医療サービス全般の改善を世間に訴え、メディアにも度々登場していた。
最愛の我が子を失った悲しみに包まれていたメリッサさんとポールさんであったが、その悲しみを乗り越え、9月27日にウィリアム君の弟となる「アーサー・ウィリアム君」を出産した。
アーサー・ウィリアム君は偶然にも、兄のウィリアム君と同じ3487グラムで誕生したという。「ミドルネームを兄の名前にしたのは、この子が成長して、亡くなった兄のことを知る時が来たら思いを寄せてやってほしいという願いからです」とメリッサさんは語る。
メリッサさんは現在も、敗血症をもっとたくさんの人に知ってもらいたいとキャンペーンを続けている。医師だけでなく、コールサービスの敗血症へのスクリーニング強化を徹底するなど保健医療相も動き出しており、今後のイギリスの医療対応に期待したいところだ。
出典:http://www.dailymail.co.uk
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)