金魚というと小さくて可愛いイメージだが、一旦水槽を離れるとそうでもないようだ。このほどオーストラリアのパース南部ウエットランドにて、飼い主に捨てられたとみられる金魚が巨大化した状態で発見されたと豪メディア『720 ABC Perth』が報じた。大きさは、なんと2キロにもなっていたというから驚きだ。
てのひらに余裕で乗る小さくて可愛い金魚が、まるでシーバスのように抱えられた写真が話題になっている。パースにあるマードック大学のスティーヴン・ビーティー博士は、過去12年にわたりオーストラリア西部のバッセルトンを流れるバッセ川の生態研究を続けて来た。
ビーティー博士と同僚は、これまでにもこの川で体重1キロ以上の巨大化した金魚を発見しており、「大きなものはこのように2キロぐらいはある」と『720 ABC Perth』に語っている。「これらの金魚は突然変異で巨大化したのではなく、家庭の水槽で子供のペットとして飼われていたものでしょう。金魚に飽きたり引っ越さなければいけないなどの理由で近くの湿地に捨てられた後、川に流れ込み、自然の豊富な餌を食べてここまで成長したと思われます」と述べた。
さらに博士は、「金魚をこのように捨てることにより、川の生態系が破壊されてしまうということを知らない人は多い」と話す。金魚は食欲が旺盛なため排泄物も多い。食べものを求めて水中を移動する際に、川底に溜まっている排泄物を含んだ栄養分を水中にまき散らすため、アオコが大発生する原因にもなっているそうだ。また金魚の暴走は他の水中植物にも影響を与えているほか、他の魚の卵まで食べてしまうことから川の生態系が乱れる一因となっている。
「金魚は鯉と同様、原因不明の皮膚病などを持っています。病気が川に蔓延すると在来種には大きな打撃です」と今後の金魚の巨大化を懸念する博士は、「ペットを飼う前に、今一度考えてもらいたい。そして飼っても気軽に捨てるということをしないでほしい」と訴える。
これまでにこの川では15匹の巨大化した金魚がビーティー博士によって発見されており、研究の対象になっているという。
出典:http://www.abc.net.au
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)