深夜に発生した火災。燃え盛る炎の中にとり残されたのは、可愛がっていた飼い犬とまだ歩くことができない生後8か月の娘だった。炎に阻まれ中に入ることができない母親は、家族が無事救出されるのを祈るような気持ちで見守るしかなかった。閉じ込められた部屋の中で、小さな赤ちゃんを懸命に守ったのは…。
今月14日深夜、米メリーランド州ボルチモアの2階建てのアパートで火災が発生した。アパートの駐車場に停めた車に用があったエリカ・ポレムスキィーさんがほんの少し家を離れた隙に、自宅は炎に包まれた。家の中にはエリカさんの生後8か月になる娘ヴィヴィアナちゃん(Viviana)と飼い犬のポロが閉じ込められた。
エリカさんは地元テレビ局のインタビューに「2階から娘ヴィヴィアナの泣く声が聞こえてきました。火事に気づいた近所の住民は窓や戸を叩き壊し、中に入ろうと必死でした。でも炎の勢いが強く娘がいる寝室に行き着くことはできなかったのです」と振り返る。
ボルチモア市の消防隊が駆けつけた時、アパートはすでに猛烈な炎に包まれ濃い煙が立ち込めていたという。火は30分で消し止められたが、消防隊が寝室で発見したのはぐったりしたヴィヴィアナちゃんと、彼女に覆いかぶさるようにして倒れている飼い犬のポロだった。救出されたヴィヴィアナちゃんは地元の病院に緊急搬送されたが、ポロはその場で死亡が確認された。
エリカさんは「ヴィヴィアナは体半分に火傷を負っただけで済みました。ポロは階下に降りて外に出ることもできたはずなのに、寝室に寝ていた娘のそばを離れようとしなかったのです」と述べ、ポロが自らを犠牲にして最愛の娘を救ってくれたことにあふれる涙が止まらない様子であった。
消防隊が到着するまでの間、ヴィヴィアナちゃんを助けようと家の中に入ろうとしたエリカさんも軽い火傷を負い病院で手当を受けた。ヴィヴィアナちゃんはポロがかばいきれなかった顔や手など身体の19%に火傷を負い、現在は子ども病院のICUで治療を受けている。まだ意識が戻らず、一進一退の状況だという。
エリカさんは「ポロはヴィヴィアナが産まれるずっと前から飼っていた犬で、わたしにとっては最初の子どもです。あの子をこんな形で喪うなんて…。今はヴィヴィアナが回復するのを祈るだけです」と言葉を詰まらせている。出火の原因については現在も調査中だという。
出典:http://abc13.com
(TechinsightJapan編集部 A.C.)