メキシコ・コアウイラ州の東シエラマドレ山脈で17日、ボーイスカウトのサマーキャンプに参加していた少年が遭難してしまった。44時間後に救助された時、一緒にいたのは大きなラブラドール・レトリバー。絶望感から救ってくれたのはこの犬であったそうだ。
少年は14歳のフアン・エリベルト・トレヴィノ(Juan Heriberto Trevino)君。現場は「クンブレス・デ・モンテレイ国立公園」の西側で、フアン君はボーイスカウトのキャンプ中に薪探しに没頭して仲間の姿を見失い、渓谷で足を滑らせ負傷して動けなくなってしまったという。
亜熱帯半乾燥地気候のため乾燥に強い植物以外は生えない岩山に囲まれ、怪我の痛みと喉の渇きとで心身ともに消耗していったフアン君。しかしそこに1頭のラブラドール・レトリバーが現れた。犬はフアン君と一緒に木陰で過ごし、夜になると急激に気温が低下する中、フアン君は温かいその体を膝に乗せて抱きながら眠った。また渇ききったフアン君の体を心配しての行動であろうか、犬は水たまりすら発見してフアン君をそこに誘導したという。
ヘリコプターでの捜査が功を奏して19日の朝にフアン君はやっと救助されたが、馬に乗った救助隊員の姿を見ると走って抱きついてくるなど、人々が心配するほどには衰弱していなかった。地元警察のマーティン・カスティーヨ氏は「栄養失調と極度の疲労が確認されていますが、大丈夫でしょう。すべては犬が少年を発見し、ずっと付き添っていたおかげです」とその貢献ぶりを大きく称えている。
この山は自分が護る。万が一の遭難者にはいち早く異変を察知して救助する…そんな自負心と勇気にあふれているこの犬の名は“マックス”。トレヴィノ家が引き取りたいと申し出たものの、すでに飼い主はいるという。日常のあらゆるシーンで介助や救助のために活躍する賢い犬たち。忠実で従順、しっかりとした仕事をした後でも“ご褒美”は実に質素。それでも人間に喜んでもらえると嬉しそうな顔を見せるものである。
出典:http://www.telegraph.co.uk
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)