米フロリダ州から興味深い窃盗・詐欺の話題が飛び込んできた。行方不明になった男性のIDカードを入手し、なりすましに成功すると男は23年にわたり別の人格として生活を送っていたという。
フロリダ州のメディア『fox13news.com』などが伝えているところによると、タンパベイに暮らしていたリチャード・ホーグランドという63歳の男が、個人情報盗難および重大な詐欺行為につき逮捕・起訴された。20年を超えるなりすまし生活を成功させていたリチャードだが、思わぬことがきっかけで化けの皮をはがされてしまったようだ。
その詐欺行為は1993年のこと、1991年に溺ぼれて行方不明になっていたテリー・シマンスキーさんという男性のIDカードを盗み、別の人格を手に入れたことから始まった。テリーさんの死亡はほぼ間違いないという中、その父親が同居人を探しているとの情報を得てリチャードが応募。その家にしばらく暮らす中でテリーさんの遺品からIDカードを盗み取ったとみられている。
リチャードは窃盗事件での追跡を逃れるためにも“リチャード・ホーグランド”という人格や家庭も捨てることを決意し、「FBIが俺を追っている。数億円の横領事件を起こした疑いをもたれている」といって姿を消したまま、決して帰らなかった。IDカードさえ手に入れば、銀行口座やクレジットカードの開設も簡単というアメリカ。インディアナ州からフロリダ州に拠点を移した後は、テリー・シマンスキーの名である女性と結婚し、息子も生まれ、住宅ローンまで組んでいたという。
ところが思わぬことがきっかけで事件は発覚した。それは家系のルーツを調べる『Ancestry.com』というサイトである。テリーさんの甥が、独身のまま死亡したはずのテリーさんが結婚していることをこのサイトで知り、すぐにパスコ郡保安官事務所に相談。そこではリチャード・ホーグランドという人物が1993年に家を出たまま行方不明となり、家族は2003年にリチャードの法的な死亡を認める失踪宣告を受けていたことがわかったという。
ただし逮捕された際、動機についてリチャードは警察に「インディアナ州の妻と距離をおきたかった」と供述したとのこと。時間をかけて離婚すればよいものをなぜそこまで手の込んだことをやる必要があったのか、首をかしげるばかりである。
出典:http://www.foxnews.com
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)