南アフリカ国会にて財務相の発表が行われた。その中で国民を驚愕させたのが、2017年4月1日からスタートする砂糖入り飲料への課税である。甘いものを高価格にすることで国民は健康になり、国の財政も潤うというが…。
2月24日、南ア・ケープタウンの国会にて予算演説が行われた。ランド安が深刻な南アフリカを救うため、プラビン・ゴーダン財務相はお金がないなら余計な出費をしないと発言、その中で新しい課税対象が発表された。
ゴーダン財務相は「今年は歳入を増加させ、国家赤字を減らすために公平で包括的な税システムに力を入れる」と述べ、タバコやアルコールの増税を発表。さらに新しく導入するのが砂糖入り飲料への課税である。対象となるのは市販のフルーツジュース、スポーツドリンク、ビタミンウォーター、市販のアイスティー、レモネード、濃縮ジュースなどだ。
サブサハラアフリカでもっとも肥満が多い国と言われるほど、南アフリカ人は甘いものが好きである。コーラなどの炭酸飲料やチョコレートはほぼ毎日摂取、コーヒーや紅茶に何杯も砂糖を入れるのは当たり前、ハチミツよりもシロップを好むといった人が多い。
砂糖を大量に摂取すると糖尿病、心疾患、肥満などのリスクをもたらすが、ウィットウォーターズランド大学の研究によると、砂糖入り飲料に20%の課税をすることで成人22万人相当の肥満を減らすことが可能だそうだ。すでにフランス、メキシコ、アメリカの数州では砂糖に課税をしている。
健康社会学者であり、同大学で「PRICELESS SA」という研究グループの副理事を務めるアヴィヴァ・トゥゲンダハフト女史は「我々の研究結果によると、砂糖入り飲料への課税が国民の健康を改善し、さらに安定した歳入をもたらすことを示している。将来的に医療給付を充実することになるであろう」と推奨し、この課税を施行するにあたって食品のラベル表示をわかりやすいものにし、広告の規制、健康食品の低価格などを盛り込みたいと述べた。
一方で、農業経済学者はこの課税は砂糖使用量の減少が国内の砂糖価格を下げ、砂糖産業にマイナス効果をもたらす恐れがあると反論している。
出典:http://business.iafrica.com
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)